東海地方の田舎町、岐阜県美濃加茂市で【社労士・コンサルタント事務所】を運営している元りく社労士です。
仕事柄、人材に関わる相談を受けることが多いですが、直近の最低賃金の改定に関わる相談も多くいただきます。
さて、今回は近年の最低賃金の改定とその背景について以下の3点にまとめました。
- 最低賃金の改定について
- 近年の推移の傾向
- その他の原材料費について
最低賃金の改定について
全国平均で63円の引上げ
最低賃金は、例年この時期になると行われています。
以前取り上げた記事は目安が出たタイミングで書きましたが、今回はほぼ確定で決まった状態となります。
今年度は、全国平均で63円の引き上げの見込みとなっていまして、この見込みの通りに引き上げられますと全国平均は1118円となります。
すべての都道府県で1000円を超えることになりますので、事業主の方にとっては負担の増加が心配でご相談が増えたのもうなずけます。
近年の推移の傾向
10年で1.4倍に
ここ最近は毎年のように最低賃金が改定されていて話題に上がっていますが、私が学生時代時代はどうだったのかなと思い少し前を振り返ってみました。
令和7年の最低賃金は、東海3県では愛知県が最も高く1140円となりましたが、10年前は820円でした。その次に高い三重県では1087円で、10年前は771円、そして岐阜県は1065円で、10年前は754円でした。
10年間で約1.4倍に上がっており、負担が増えていることが分かります。
さらに、20年前から見てみると、約1.6倍となっており、1時間あたりで約400円増えていることが分かります。
正社員が160時間働くと仮定すると、一人あたり約60000円が増えていることになります。法定福利費と呼ばれる費用を加味すると、もっと多くの額が増えていることでしょう。
企業経営を進めていく中で、増えた負担以上の利益を残していくことは簡単なことではありませんが、継続的な成長のためには高い付加価値の製品を提供したり、無駄な経費を削減するなどしていくことが求められるようになってきているように感じます。
愛知県 | 岐阜県 | 三重県 | |
令和7年(2025) | 1140 | 1065 | 1087 |
令和6年(2024) | 1077 | 1001 | 1023 |
令和5年(2023) | 1027 | 950 | 973 |
令和4年(2022) | 986 | 910 | 933 |
令和3年(2021) | 955 | 880 | 902 |
令和2年(2020) | 927 | 852 | 874 |
令和元年(2019) | 926 | 851 | 873 |
平成30年(2018) | 898 | 825 | 846 |
平成29年(2017) | 871 | 800 | 820 |
平成28年(2016) | 845 | 776 | 795 |
平成27年(2015) | 820 | 754 | 771 |
平成17年(2005) | 688 | 671 | 671 |
その他の原材料費について
電気ガス水道代
人件費は確かに高騰していることが分かりました。
事業を運営していくためには、その他にも多くの経費がかかってきます。
最後に、多くの業種で必要となる経費について調べてみたいと思います。
今回調べたデータは「水道光熱費」と「ガソリン代」です。
電気やガス、水道は多くの事業所で使用していますし、東海地方は車社会ですので、ガソリン代の影響も大きいのではないかということでこの2項目を選びました。
調査対象は東海地方に限っていないものを拾っていますので、全国的なものとなる点はご了承ください。
2005年 | 2015年 | 2024年 | |
光熱・水道 | 212,112 | 234,702 | 230,749 |
┗電気代 | 90,780 | 112,036 | 120,323 |
┗ガス代 | 59,112 | 58,956 | 49,303 |
┗上下水道代 | 48,636 | 50,784 | 48,380 |
ガソリン代 | - | 51,358 | 56,408 |
まず、水道光熱費については、ここ20年で108.8%に増加しています。
一般的な家庭で使用するとしても大きな負担増加になりますが、事業所となればより多く使用することも考えられますので、負担の増加は出ているでしょう。
水道光熱費の中でも特に電気代が、132.5%と増加の傾向が顕著に表れています。
逆にガス代は83.4%と減少していて、水道代は一時期は上がりましたが、直近はほぼ20年前と同じ水準となっています。
ガソリン代
次にガソリン代ですが、20年前のデータが拾えなかったため、10年前との比較のみとなります。
こちらも10年前と比較して109.8%と1割ほどの増加となっています。
飲食店などの来店型のサービス業のお店ではあまり影響しないのかもしれませんが、営業を抱える会社や運送業にとっては影響が出ていることでしょう。
終わりに一言
いかにムダをなくすかと言う点は多くの会社に共通していることですので、ムダを取り除く施策を考えて実行していく必要性が強くなっているような気がします。
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