東海地方の田舎町で【コンサルタント事務所】を運営している元りく社労士です。
〇〇ハラという言葉がたくさんありますが、パワハラもその一つです。
さて、今回はパワハラについて以下の3点にまとめました。
- パワハラの定義とは
- パワハラに注意する
- 相談できる窓口
パワハラの定義とは
パワハラとは「優越的な関係を背景とした言動で、業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、労働者の就業環境が害されること、が起こらないように措置を講ずる」と書かれています。
優越的な関係を背景として
典型的な例は、上司と部下が当てはまります。職場での地位の優位性を利用して行われる言動になります。
注意が必要なのは、上司から部下だけではないということです。近年、パソコンやデジタルについては若手の方強いということもあります。そんな部下の力を借りないと業務に支障をきたす場合は部下が優越ということになります。
業務上適切な範囲を超えて
業務上の判断は難しい部分でもあります。社会通念から判断されます。
指導とパワハラの境が難しいところですが、しかるべき注意をパワハラだというのは部下の方がやり過ぎかなと感じます。
・明らかに必要でない言動
・業務から大きく逸脱している言動
・回数や手段が適切な範囲を超える言動
これらは適切な範囲を超えていると判断されます。
労働者の就業環境が害される
日常的に精神的な苦痛を受けている職場で安心して働くことは難しいです。本来のパフォーマンスも発揮できなくなります。
暴力や大声での叱責、長時間の拘束などは、従業員の意欲を著しく低下させてしまうため避けなければなりません。
パワハラの6類型
厚生労働省が以下の6つの類型を示しています。
・精神的な攻撃
・身体的な攻撃
・過大な要求
・過小な要求
・人間関係からの切り離し
・個の侵害
自分自身が行わないことはもちろんですが、部下や同僚など他の人が行わないように教育していくことも重要になります。
パワハラに注意する
パワハラにならないように
まずは、経営者などトップからのメッセージを発信しておきましょう。会社全体として、パワハラを行わない意識を持つことが重要です。
そして、パワハラを行なった者に対する懲戒規定を就業規則に記載し従業員に周知しておきましょう。楽しんでやっている方は少ないと思いたいですが、規定があると知らなかったというパターンは意外とあります。
なお、経営者になっている方や役職がついている方が新人だった頃、過激な発言があったり時には手が出てきたという方もいらっしゃるかもしれません。今はどちらもNGな行動です。
部下がミスをするとすぐにカッとなる人もいますが注意する前に一呼吸置く癖をつけておくとよいかもしれません。アンガーマネジメントの6秒ルールと言ったりします。
何度も改善されない時は、過去の対処法が間違っていなかったかという点にも着目してください。
パワハラと感じたら
パワハラの類型に当てはまる行為を受けた場合は、まずは客観的な記録を残すようにしましょう。
言った言わないの水掛け論になってしまうと証明することは困難になります。
ボイスレコーダーやビデオなどが確実ですが、会社のルールに抵触する可能性もありますし、現実的には難しいかもしれません。
特に、「日時、場所、誰から、言われたことやされたこと、見ていた人」などは可能な限り控えておきましょう。相談するときに重要な情報になります。
相談できる窓口
企業内外の窓口
比較的大きな規模であれば専門の部署や提携している窓口があるかもしれません。その場合は、従業員にも窓口があるということを周知しておきましょう。
総合労働相談センターが全国の労働局や労働基準監督署に設置されています。電話での相談もできますし、直接行って職員さんに話を聞いていただくこともできます。
判例の参考
メイコウアドヴァンス事件(名古屋地裁平成26年1月15日判決)
仕事上のミスの叱責の域を超えた暴言や暴行、退職強要により自殺してしまった事件です。
裁判所は、自殺との因果関係を認め、残された妻や子に対する損害賠償として約5400万円の支払いを命じています。
トナミ運輸損害賠償請求事件(富山地裁平成17年2月23日判決)
内部告発した社員を昇級や昇進の対処から除外し、また不当な異動により個室での勤務をさせていた事件です。
裁判所は、内部告発は正当なものであり、昇級させないことや個室での勤務は人事権の濫用であるとして、不法行為や債務不履行責任で1357万円を支払うよう命じています。
最後に一言
被害を受けている方からはなかなか言い出せないことも多いです。周囲の方も協力し合っていい職場を作っていきましょう。