働き方改革で生産性向上と助成金

労働法・労働保険

東海地方の田舎町、岐阜県美濃加茂市で【社労士・コンサルタント事務所】を運営している元りく社労士です。
先日、2025年に最低賃金がどの程度増加するかの想定額が発表されました。
昨今の燃料費の上昇に合わせて、人件費もここ数年で大きく膨らんでいる事業所が多いでしょう。
出ていく経費が増えていることから、売上を伸ばす取り組みと生産性高く働くことができる仕組みを構築していくことが求められているように感じます。

さて、今回は生産性を高める取り組みに対する助成金について以下の3点にまとめました。

  • 働き方改革推進支援助成金とは
  • 業種別課題対応コースとは
  • 労働時間短縮・年休促進支援コースとは

働き方改革推進支援助成金とは

概要

働き方改革という言葉は、2018年に成立して、2019年4月1日に施行された「働き方改革関連法」からではないでしょうか。

この政令では、主に以下の3点が書かれています。
1.労働時間の上限規制について
2.年次有給休暇の時季指定について
3.労働時間の把握について

労働者の生産性を高めて働きやすい労働環境を整備することで、人材の確保や企業イメージの向上というメリットがあります。
この働き方改革を進めていくために国が支援をしているのが、今回取り上げる助成金です。

「働き方改革推進支援助成金」は、労働時間の短縮や年次有給休暇の促進に向けた環境整備等に取り組む中小企業事業主に対して、その実施に要した費用の一部を助成するものです。
長時間労働の見直しのため、働く時間の短縮等に取り組む中小企業事業主の皆さまを支援します。

助成金の受給のためには、上記の労働時間の短縮や年次有給休暇の取得を促す取り組みが必要となります。
対象となる取り組みは色々なものがあります。
1.労務管理担当者に対する研修
2.労働者に対する研修、周知
3.外部専門家によるコンサルティング
4.就業規則の作成や変更
5.人材確保に向けた取り組み
6.労務管理ソフトの導入や更新
7.労務管理機器の導入や更新
8.デジタル式運航記録計の導入や更新
9.労働能率の増進のための設備や機器の導入や更新

取り組む内容によって助成割合は変わりますが、少なくとも4分の3、多ければ5分の4までが助成されます。
特に、労務管理のソフトや能率向上のための設備の導入は、高額となることも考えられますので、負担の軽減が期待できます。

コースの種類

働き方改革推進支援助成金には、大きく4つのコースが用意されています。
・業種別課題対応コース
・労働時間短縮・年休促進支援コース
・勤務間インターバル導入コース
・団体推進コース

続きでは、使いやすそうな2つのコースをご紹介していきます。

業種別課題対応コースとは

業種が限定されているコース

一つ目のコースは業種別の課題を解決するためのコースとなります。
対象となる業種は下記の6業種に限定されています。
・建設業
・運送業
・病院等
・砂糖製造業
・情報通信業
・宿泊業
主に、時間外労働が多かったり、休日が少ないと言われる業種が対象となっています。対象の業種を営んでいる事業主であれば使い勝手がよいコースとなります。

設定することができる成果目標と達成できたときの支給額は以下の表の通りとなります。

成果目標支給額
労働時間の短縮最大250万円
年次有給休暇の計画付与を導入25万円
時間単位年次有給休暇の導入25万円
勤務間インターバルを導入最大170万円
所定休日の増加最大100万円
労務管理体制の構築(病院など)50万円
3直3交代制の整備(砂糖製造業など)350万円

労働時間短縮・年休促進支援コースとは

業種を問わず取り組めるコース

二つ目は業種を問わずに取り組むことができるコースとなります。
成果目標ごとの支給額を一覧にまとめましたが、上の業種別と比べても少ないことが分かります。
しかし、メインとなる労働時間の短縮や年次有給休暇の計画付与、時間単位年休の導入は対象となっていますので、こちらを選択してもよいかもしれません。

設定することができる成果目標と達成できたときの支給額は以下の表の通りとなります。

成果目標支給額
労働時間の短縮最大150万円
年次有給休暇の計画付与を導入25万円
時間単位年次有給休暇の導入25万円

こちらのコースには、賃金引上げを成果目標に加えることもできるようになっています。
常時雇用する従業員数や引上げ人数、引き上げる率によって加算額は変わってきますが、3%の引上げで12万円から最大120万円まで、加算額の最大額は720万円までとなっています。

加算額の上限である720万円を狙うのは現実的ではないかもしれませんが、最低賃金の増加が全国平均で6%ほど上がることを考えると、嫌でも上げなければならない状況になりますので、うまく活用できるとよいのではと考えられます。

終わりに一言

賃上げの時期になると憂鬱な気持ちになる事業主がいる一方で、設備投資を考えているのであればうまく情報を集めることができれば経費削減になる可能性があるのも事実です。
1年ほど前にも最低賃金の上昇にあわせて以下の記事を書いていますので、ご興味ある方はぜひご一読いただけると嬉しいです。
助成金だけでなく、労務相談や人事制度についてのご相談も承っております。気になる方はお気軽にお問い合わせください。

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