人手不足の解消と外国人雇用の注意点

労働法・労働保険

東海地方の田舎町、岐阜県美濃加茂市で【社労士・コンサルタント事務所】を運営している元りく社労士です。
実は、美濃加茂市という町は外国籍の方の割合が高い市町村の一つです。都市部に行くと外国籍の店員さんを見かけることは普通にありますが、この人口が多くない町でもよく見かけます。
一般の企業でも雇用しているところも増えてきていますし、昨今の人手不足の解消に力となってくれる可能性があることも事実です。

さて、今回は外国籍の方を雇用する際の注意点を以下の3点にまとめました。

  • 外国人労働者の動き
  • 雇用をするメリット
  • 雇用する際の注意点

外国人労働者の動き

右肩上がりで増えている

外国人の方がどの程度住んでいるのかを調べるために、今回は令和2年度に実施された国勢調査から情報を拾ってみました。
全国で見ると外国人の比率は1.90%となっていました。
都道府県別で見てみると、東京都の3.44%が最も高く、秋田県の0.38%が最も低くなっています。

市町村別でランキングを作成してみたところ、美濃加茂市が10位に入り、お隣の可児市が14位に、同じくお隣の坂祝町が27位に入っていました。
関東圏や関西の首都圏が多いのは理解できますが、空港もなく、公共交通機関のアクセスも悪いこの地域になぜ?という疑問が出てきただけですが、多いことが改めて分かりました。

順位市町村名比率
10位岐阜県美濃加茂市8.19%
14位岐阜県可児市7.34%
17位愛知県高浜市7.14%
20位愛知県碧南市6.96%
25位愛知県知立市6.55%
27位岐阜県坂祝町6.23%
29位愛知県小牧市6.05%
31位愛知県名古屋市港区5.77%
36位愛知県名古屋市中区5.64%
39位三重県伊賀市5.62%
46位愛知県飛島村5.38%
50位愛知県西尾市5.27%
出典:令和2年度国勢調査(総務省統計局)

居住している人がすべて働いているわけではありませんが、一定数の労働力となっている可能性は高いと考えられます。

雇用をするメリット

労働力不足の解消

労働力人口は15歳以上の人口のうち、就業者と完全失業者を合わせた人口のことを指しています。
この人口は、2024年平均で6,957万人と前年に比べると若干伸びている結果となっています。これだけを見るとまだまだ安心できるような気もしています。
しかし、ご存じの通り、1970年には「高齢化社会」(65歳以上の人口が7%超)に、1995年には「高齢社会」(65歳以上の人口が14%超)に、2007年には「超高齢社会」(65歳以上の人口が21%超)と加速しています。
それに伴って、巷では採用難で苦しんでいる経営者の方も多く、ご相談の内容に含まれることも多いです。

社会構造の変化に対応していくための労働力として外国人の活用は有効な手段となり得ます。
教育面でも、マニュアルを翻訳してくれるアプリも増えてきていますし、通訳ができる機器もあるので採用の難易度は下がってきていると感じています。

インバウンド対策

もう一つのメリットとなるのが、インバウンドの対策です。
日本政府観光局の発表によりますと、2025年8月の訪日外国人観光客数は約342万人となり、8月としては初めての300万人超えとなったようです。
高齢社会が進むことは、消費の縮小にも影響してきますので、訪日外国人を受け入れることができるかということは売上の維持拡大のための施策にもなってきます。

外国人労働者を採用することで、日本語以外の言語に対応できる職場となれば、訪日外国人から選んでもらえるお店や会社となっていけます。
また、海外に事業展開を考える際にも、社内で対応できる人材がいることは大きな強みとなるでしょう。

雇用する際の注意点

活動資格の問題

外国人の方が日本で働くことは、誰にでも認められているわけではありません。
働くことが認められているパターンも複数あり、専門家でないと分からないということも起こっています。
大きくまとめると次のような区分けができるかと考えています。

在留資格就労制限
特定技能・技能実習など資格に定められた範囲内で可能
留学・家族滞在など週28時間までの制限あり
永住者・定住者など制限なし

特定技能と技能実習については外国人の雇用という点では同じですが、受入の目的や義務の面で違いがあります。こちらも機会があればまたまとめてみたいと思います。

制限がある仕事以外をさせることはできませんので、雇入れのときには在留カードを確認するなど、注意が必要です。
また、雇入れのあとには、雇用保険の加入の有無によって、ハローワークへの手続きも異なります。
知らなかったではいけませんので、しっかりと調べて忘れずに手続きをしておきましょう。

言語や文化の問題

働く目的で日本に来ているのであれば日常的な日本語は問題のない方がほとんどですが、細かな言い回しの違いなどでトラブルを招いてしまう可能性があります。
また、世界には多種多様な文化や宗教が存在します。
違いを受け入れることができるような体制にしていかなければ、社内で問題が起きてしまう可能性もあります。

外国人の雇用を増やしていくための取り組みに対しては助成金が出るものもあります。
こちらの記事で触れていますので、ご興味のある方は厚生労働省のページをご覧いただければと思います。

終わりに一言

多くの外国人労働者が働きやすい環境を整備できれば人手不足の問題も軽減するのではとも思っています。
取り扱い案件はそこまで多くはありませんが、人事労務の専門家としてお力になれますし、外国人関係に強い行政書士のパートナーもいますので、気になる方はお気軽にお問い合わせください。

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