東海地方の田舎町で【コンサルタント事務所】を運営している元りく社労士です。
従業員を雇用している企業では、採用と同じくらい難しいと考えているのが育成に関してではないかと思います。
私もリクルート在籍中に後輩の育成に携わることがありましたが、入社時や配置転換時にどのような知識があったのかということを忘れてしまっているとギャップが大きくなると感じていました。
育成には先輩従業員の時間やコストがかかるため計画を立ててやっていく必要もあります。
さて、今回は従業員の育成に使える人材開発支援助成金について以下の3点にまとめました。
- 助成金の概要
- 人材育成支援コース
- 人への投資促進コース
助成金の概要
労働者に対しての訓練を助成
人材開発支援助成金とは、事業主が労働者に対して訓練を実施したときに受給することができる助成金です。
対象となる経費は、訓練に関わる経費や訓練中の賃金の一部などになります。
令和7年4月1日から制度が一部見直しとなりまして、対象となる賃金の額が増加したり、手続きが簡素化されたことで、より活用しやすくなりました。
本助成金にはいくつかのコースがありますが、まずは簡単にまとめておきたいと思います。
コース名 | コースの概要 |
人材育成支援コース | 従業員に対し、職務に関連した知識や技能を習得させるための訓練を実施した場合に助成 厚生労働大臣の認定を受けたOJT付訓練を実施した場合に助成 非正規雇用労働者を対象とした正社員化を目指す訓練を実施した場合に助成 |
教育訓練休暇等付与コース | 有給教育訓練制度を導入し、労働者が当該休暇を利用し訓練を受けた場合に助成 |
人への投資促進コース | デジタル人材の育成のための訓練を実施した場合に助成 |
事業展開等リスキリング支援コース | 新規事業などの事業展開に伴い、新たな分野で必要となる知識や技能を習得させるための訓練を実施した場合に助成 |
人材育成支援コース
職務に関連した訓練を助成
最初のコースは人材育成を支援しているコースになります。
職務に関連する専門的な知識や技能を習得するために訓練を実施した場合に、訓練経費や訓練期間中の人件費の一部を助成してもらうことができます。
ここで言う訓練とは、10時間以上のOFF-JT訓練が対象となっています。正社員転換を目的とするためであればそちらも対象となっています。(下記の表の有期実習型訓練のことを指しています。)
実施する訓練によって助成率や助成額が異なりますので、下記の表にまとめておきます。
対象となる訓練 | 経費助成率 | 賃金助成額 | OJT実施助成額 |
人材育成訓練 | 45%~70% | 800円 | – |
有期実習型訓練 | 45%~75% | 800円 | 10万円 |
上記の助成額を合算して、受講者1人あたりの経費助成にも限度額があります。
10時間以上100時間未満 | 100時間以上200時間未満 | 200時間以上 | 1事業所1年度当り上限額 |
15万円 | 30万円 | 50万円 | 1,000万円 |
分かりづらいですので、簡単に事例を出してまとめてみたいと思います。
例)採用した月給24万円の従業員5名の育成のため、研修や訓練を30時間実施したとします。
賃金助成額800円×30時間×5名=12万円
恐らくどの企業も研修は行っていると思いますので、そちらを受けている間の賃金分が助成されることで助かる企業もあるのではと思います。
人への投資支援コース
高度デジタル人材育成の訓練を助成
こちらも育成に関わる経費や人件費を助成してもらえるコースとなります。
このコースの中にさらに5つに分かれる訓練がありまして、少し細かくなりますので今回はよく聞かれるものとして2つをまとめておきたいと思います。
対象となる訓練 | 経費助成率 | 賃金助成額 |
定額制訓練 | 60% | – |
高度デジタル人材訓練 | 75% | 1,000円 |
定額制訓練では、システム会社などが実施している有料の研修を空き時間に見てもらうことで研修とすることができます。
サブスクリプション型の研修サービスは多くありますので、業界ごとで有効な研修サービスを見つけることができれば、費用の負担を抑えつつ従業員のスキルアップにつなげることができます。
賃金に対しての助成はありませんので、注意が必要です。
高度デジタル人材訓練では、今話題のDX化などの専任者を育成するための訓練をすることができます。
必要となる経費が1/4に抑えることができ、訓練中の賃金を1000円分抑えることもできます。
どちらも、経費を抑えつつ人材の育成を実現できるよい助成金となっています。
終わりに一言
育成が充実しているということは、求職者から見たときの魅力の一つとなることも多いです。
スキルアップすることで、早期に戦力として活躍してもらえるような仕組み作りができるとよいかなと思います。
人材育成の制度設計や、それに合わせて活用できる助成金の申請なども承っております。気になるという方はお気軽にお問い合わせください。