従業員の入退社と受け取っておく書類

労働法・労働保険

東海地方の田舎町、岐阜県美濃加茂市で【社労士・コンサルタント事務所】を運営している元りく社労士です。
従業員を雇っていると採用や退職といったことが起こります。
そして、採用時にも退職時にもいくつかの書類のやりとりが必要になります。
もらっておかないと後々大変なことになる可能性もあるので、経営者や人事担当者は覚えておいた方がよいです。

さて、今回はに入退社のときにやり取りする書類について以下の3点にまとめました。

  • 入社時
  • 退社時
  • イレギュラーな例

入社時

従業員からもらう

・雇用保険被保険者証(前職がある場合)
・源泉徴収票(前職がある場合)
・マイナンバーの確認できるもの
・扶養控除等(異動)申告書
・健康診断書
・その他会社が必要とする書類(雇用契約書、身元保証書、振込先口座や通勤経路を書いてもらった書類など)

入社時に回収する書類の代表的なものは上記の書類となります。
書類をしっかり回収している会社であれば、内定時に採用証明書や入社承諾書などを回収していることもあります。

雇用保険被保険者証がないということもありますが、その場合は前職を書くことでハローワークの方で対応してくれることもあります。
または、近年であればマイナンバーと雇用保険被保険者証の番号が紐づいていれば、マイナンバーを記載することで雇用保険に加入することもできます。

どの書類を回収しなければならないか分からなくなってしまったときは、就業規則を参考に回収するか、こちらの記事の書類だけは忘れずに回収しておくようにしましょう。

会社から渡す

・労働条件通知書or雇用契約書
・名刺
・保険証
・その他貸与品(社員証、スマートフォン、PCなど)

逆に会社から渡すものが上記のものになります。
あまり数は多くありませんが、労働条件通知書は交付が義務となっており罰則もありますので、忘れずに発行しておきましょう。
なお、雇用契約書と一緒にされることが多い労働条件通知書ですが、明確な違いがあります。
労働条件通知書は労働基準法第15条に書かれている、労働条件を明示しなければならないという法律に則った書類であり、一方的に通知することができます。詳細は別の記事でまとめていますので、気になる方は下記の記事をご一読ください。
雇用契約書は名前の通り契約書となりますので、双方の署名や捺印をすることが必要な書類となります。

その他の貸与品は会社によって異なりますが、会社ごとで必要なものを用意して貸し出しましょう。

退社時

従業員からもらう

・退職願
・退職届
・名刺
・保険証
・その他貸与品(社員証、スマートフォン、PCなど)

従業員の退職時には、上記を忘れずに回収しておきましょう。
回収を忘れてしまうと後々問題になることがあるものばかりです。

退職願と退職届は名前が似ていますが、出すタイミングが異なります。
退職願は従業員からの退職のお願いとなります。会社が承諾してはじめて退職が認められることになります。一方で退職届は退職が決まった後に提出する書類となります。
退職願や退職届をもらっていないと、後で辞めさせられたということを言われたときに会社の正当性を証明することが難しくなってしまいます。

保険証は従業員が会社の社会保険に加入しているときに使用でいるものですので、退職後は原則使用することができません。しかし、実際のところ使用することができてしまうことから、後々自己負担分の扱いなどが問題となることが多くあります。

会社から渡す

・雇用保険被保険者証
・離職票
・源泉徴収票
・年金手帳
・(社会保険の)資格喪失証明書

退職した従業員には雇用保険被保険者証か離職票を渡しますが、離職票は59歳以下の従業員の場合は希望があったときに発行すれば問題ありません。
源泉徴収票は年末が近くなってきたらまとめて発行していることもあるかと思いますので、忘れずに郵送しておくようにしましょう。
年金手帳は令和4年4月1日以降は発行されなくなりましたが、それ以前に20歳になっている方には発行されていますので、会社が持っていれば返却しておきましょう。

聞きなれない資格喪失証明書は、健康保険の資格を喪失したことを証明する書類になります。
退職した従業員が国民健康保険に加入するために、役場に行ったときに提出を求められることがあります。
こちらもマイナンバーと健康保険証が紐づいていることが増えてきていることから、将来的には不要になるかもしれません。

イレギュラーな例

離職理由証明書の発行依頼

離職理由証明書という書類があります。
これは労働基準法第22条に定められている書類になり、希望があった場合は発行が義務となります。
証明書には以下の項目を書く必要があります。
・使用期間
・業務の種類
・その事業の地位
・賃金
・退職の理由(解雇ならその理由)

離職票とは別の書類となりますので、発行を求められたら遅滞なく発行してあげましょう。

退職後に離職票の発行依頼

離職票の発行は、通常雇用保険の喪失と同時にします。
しかし、中には退職時は転職先が決まっていたから発行を依頼してこずに、転職先を早期退職したことで失業保険を受け取るために離職票が必要になったということもあります。
そんな依頼があったときはなるべく早く離職票を発行してあげましょう。

終わりに一言

入退社は回収する書類やお渡しする書類が多く、抜け漏れが起きやすいです。
何事もなく済めばよいのですが、万が一の可能性を極力減らすことができるように、必要な書類はチェックリストを作るなどして忘れずに回収しておきましょう。
なお、社労士に労働者名簿の作成や給与計算を依頼する場合にもここに出てきた書類はすべて必要になります。ご心配な方はご相談に乗っていますので、お気軽にお問い合わせください。

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