事業計画と自社の分析

営業支援

東海地方の田舎町で【コンサルタント事務所】を運営している元りく社労士です。
創業や新規事業展開など、事業計画のご相談をいただく機会が増えてきました。計画を立てるにあたり、事業の立ち位置を把握することが重要となります。

さて、今回は事業計画を立てる上で確認しておくことを以下の3点にまとめました。

  • 外部環境の分析(大きく)
  • 外部環境の分析(小さく)
  • 内部環境の分析

外部環境の分析(大きく)

PEST分析

外部環境を大きな視点で見るときに便利なものがPEST分析と呼ばれるものです。
自社を取り巻く環境がどうなっているかを政治、経済、社会、技術の4つの視点から見てみます。
・政治的要因(Political Factors)
法改正や税制、政権交代によって、自社の置かれている競争のルールが変化します。
コロナ禍で働き方が変わったことにより多くの業界で影響が出ました。助成金や補助金を早く知ることができるかも経営に影響してくるでしょう。

・経済的要因(Economical Factors)
経済成長や為替など、経済情勢の変化によって、同じ売上でも利益が変化します。
国内のサービスだけであっても、原材料の仕入れを海外から行っていることも多いため、原材料の高騰という影響が起こります。

・社会的要因(Sosial Factors)
人口の変化や流行など、消費者の購買数が変化します。
人口減少によって消費する人は徐々に減少していきます。流行をとらえるための動きも必要となってきます。

・技術的要因(Technological Factors)
AIの発達や技術革新によって、ビジネスのあり方が変化します。
生成AIは日々進化しています。商品へ組み込んだり、販促に取り入れるなど、新しい技術をどう使いこなすかで成長速度に大きく影響します。

中小企業には影響が小さい項目もありますが、消費者となる人口の変化を中心に全体をとらえておく必要があります。

外部環境の分析(小さく)

3C

外部環境を小さな視点で見るときの分析の一つ目は、3C分析です。
同じく自社を取り巻く環境をより近く、自社、顧客、競合の3つの視点で見ていきます。

・市場、顧客(Customer)
市場規模や成長率がどう変化しているかは影響が大きい要素となります。自社が働きかけることができる範囲をここでは調査していきます。
自社がビジネスを展開していく範囲内の消費人口、業種ごとに異なる購買行動やニーズなども整理しておくとよいでしょう。

・競合(Competitor)
自社の競合となる企業は、どのような企業で、どのようなお客様を対象にしているか、業界内でのシェアはどれくらいか、などを幅広く見ていきます。
特に近隣で同じようなお客様を対象にしている企業がどのような販売戦略を行っているのかはとても参考になります。

・自社(Company)
自社の要因は厳密には外部ではなく内部になります。製品やサービスやビジネスモデル、収益性、業界内での立ち位置などを見ておきます。競合と同様に、自社の業界内でのシェアがどれくらいあるかや、シェアの推移も見ておきましょう。
どの企業でも業界で生き残っているので強みはあります。しかし、同時に弱みもあるはずですのでその点からも目をそらさずに見ておきましょう。
製品やサービスを見ていくときには、4P(製品・サービス、価格、流通、販促)という視点で見ていくこともできます。

5フォース

5つの競争要因とも言われる分析手法です。次の5つの視点から事業環境を見ていきます。
・業界内の競争
業界内にどのような競合が存在しているのか、競合がとっている戦略を見ていきます。

・新規参入者
参入障壁の高さや、どこの企業が新規参入してきたかを見ていきます。一般的に、設備投資が安く済んだり、技術を身につける難易度が低いと、参入障壁は低くなります。

・代替品
既存の製品やサービスに代わる新たな製品やサービスが出てくる可能性を見ていきます。

・買い手の競争力
自社の顧客となる個人や企業との関係性を見ていきます。買い手が購入場所を簡単に変えることができる状況では、買い手の競争力は強くなります。逆に、自社で独占して提供できるものがあれば買い手の競争力は弱くなります。

・売り手の競争力
自社の原材料の仕入先や元請けなどとの関係性を見ていきます。特定のメーカーが特許を持っている原材料を仕入れている場合は売り手の競争力は強くなります。逆に、複数の仕入れルートを確保できている場合は、売り手の競争力は弱くなります。

特定の部分が強いこともありますし、全体的に強いこともあります。

内部環境の分析

ヒト・モノ・カネ・情報

内部にある経営資源というと、ヒト・モノ・カネ・情報の4つがあげられます。

・ヒト
人材や組織など、他の経営資源を動かすことができる資源となります。

・モノ
会社が持っている物理的な資源となります。ビルや工場などの不動産から工場内の機械もここに入ります。

・カネ
現金や株式、売掛金などのお金に関わる資源となります。ヒトやモノを動かすために必要なものとなります。

・情報
会社が持っている形のない資産となります。顧客情報やノウハウなどの営業秘密、特許や著作権など、会社が収益をあげていくために欠かせないものとなります。

経営していく上で、どれも欠かせない経営資源となります。

VRIO分析

アルファベットで書かれていますが、ブリオ分析と読みます。自社の競合優位性や経営資源を見ていくときに使うことができます。

・Value(価値)
製品やサービスの経済的な価値を見ます。自社の提供する価値の、売上への貢献度、今後の継続性などから優劣を判断します。製品やサービスだけでなく、従業員が持っているスキルも価値となる場合があります。

・Rarity(希少性)
提供できる価値がどれだけ希少かを見ていきます。希少であれば真似されにくく、今後シェアを拡大していくこともできます。逆に、他社にも同様の価値があるのであれば強みとはなりません。

・Imitability(模倣困難性)
希少な価値を持っていても、簡単に真似されては優位は一時的なものとなります。真似するときに費用がかかるのであれば模倣されにくいと判断することもできます。

・Organization(組織)
真似されにくい希少な価値を持っていて、それを活用できる人材や組織があれば継続的に優位性を発揮できると考えられます。ここでは、個人個人だけでなく組織的に活用できる仕組みが出来上がっているかということが重要になります。逆に、組織的に活用ができないとなると、価値を継続的に提供することが難しくなります。

自社に足りていないのはどこかということを把握することで、次の打ち手を正しく出していくことが可能となります。

終わりに一言

今回は外部分析から内部分析までに使えるものを一通り見ていきました。多面的に見ることで、自社の戦う場所や成長していく方向性が見えてきます。全部を見ていくと時間はかかりますが、今後の戦略を立てるときの参考になります。
どうしたらよいか分からない場合は相談にも乗っていますので、お気軽にご相談ください。

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