就業規則の見直しと料金の目安

労働法・労働保険

東海地方の田舎町で【コンサルタント事務所】を運営している元りく社労士です。
雇用する従業員が10人を超えた事業所は就業規則の作成と労基署への提出が義務付けられています。今の私のお客様では、10人以上ではなくても、関与する前から作成されている事業所がほとんどでした。

さて、今回は就業規則の作成と料金の目安について以下の3点にまとめました。

  • 就業規則の決まりとは
  • 新たに作成するときの料金の目安
  • 修正するときの料金の目安

就業規則の決まりとは

労働基準法第89条

労働者を守る法律の労基法には就業規則について以下のように決められています。

第八十九条 常時十人以上の労働者を使用する使用者は、次に掲げる事項について就業規則を作成し、行政官庁に届け出なければならない。次に掲げる事項を変更した場合においても、同様とする。

e-GOV法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/322AC0000000049#Mp-Ch_4-At_39

常時10人以上の労働者を雇用することになったら作成をしなければならないとあります。
ここに書かれている10人以上とは、パートタイマーやアルバイトなどの雇用形態は関係ありません。すべての労働者の合計が10人以上が一つの基準となります。
季節的に人数が変動する事業所の場合は、繁忙期のみ10人以上となるのであれば届出は義務ではありません。

10人未満の場合は届出の義務はありませんが、就業規則に準ずるものとして作成することができます。

就業規則には必須記載事項がいくつか決められています。
これは、必ず記載しなければならない内容となっています。

  • 始業と終業の時刻、休憩時間、休日、休暇など
  • 賃金の決定、計算と支払方法、賃金の締切と支払時期、昇給に関することなど
  • 退職に関すること(解雇の事由を含む)

他には、定める場合には記載しなければならい相対的必要記載事項があります。

  • 退職手当に関すること
  • 賞与など臨時の賃金、最低賃金額に関すること
  • 食費、作業用品などの負担に関すること
  • 安全衛生に関すること
  • 職業訓練に関すること
  • 災害補償、業務外傷病に関すること
  • 表彰、制裁に関すること
  • その他すべての労働者に適用されること

上記の内容が書かれていればそれが会社内でのルールとなります。ただし、労働基準法や労働協約を下回る内容としてはいけないことになっています。

10人未満だからと言って就業規則を作成していないと、休職が起きたときや懲戒を行いたいときに根拠となるものがなくなってしまうということもあります。

就業規則のポイント
雇う人数が10人以上になった作成する
周知と届出までしなければならない
10人未満でも作成しておくとよい

新たに作成するときの料金の目安

就業規則の本則を作る

就業規則を作成したいけれども。いくらになるのかという相場感が分からないことがよくあります。
実際に検索したり、社労士の先生のウェブサイトを見ましたが、数万円~百万円近い金額まで様々でした。
これは、社労士含めた士業全般の顧問報酬の金額にも言えますが、非常にリーズナブルな価格設定のところから、私ではとても提示できない金額のところまであります。

話を戻しまして、多くの社労士事務所では就業規則の本則を作るのに20万円~30万円としているところが多いようです。
およそ100条に渡る内容を社長からヒアリングし、条文に打ち込む作業をするとなるとそれなりの時間がかかるものです。
時間数に時間当たりの単価を掛けて見積額を算出するとそれくらいの金額となることは納得できます。

パートの方に打ち込みだけお願いしている場合や、テンプレートを少しだけ修正して納品している場合であれば、時間はかからなくなりますのでリーズナブルになることもあります。

他には、作業のスピードも影響すると考えています。
パソコンで作業となりますので、操作に慣れている人とそうでない人で作業の時間(=料金)は大きく変わります。

本則を作る上でのポイント
実際に手を動かすのが誰なのかで料金は変わる
高いから良い、安いから悪いとは一概に言えない

その他の規程を作る

本則だけで20万円~30万円と書きましたが、就業規則には本則の他に、パートタイム勤務用の就業規則、育介休規程や賃金規程など他の規程があることもあります。

ここでご注意いただきたい点が2つあります。
・他の規程は必須ではない
・本則以外の規程を作ると追加で費用がかかる

「10人以上になったので就業規則を作らなくてはならないと知り、頼んでみたらいろいろな規程も必要と言われた。」というお話はよく聞きます。
会社の状況によっては、規程を別で作っておいた方が今後の法改正に対応しやすいということもありますので、本則以外を作ることが必ずしも悪いということではありません。
会社の状況や、今後の経営計画に合わせて、どこまでが必要なのかを考えておきましょう。

本則以外を作るときのポイント
本当に必要なのかを考える
今後の経営計画も社労士に伝えておく

修正するときの料金の目安

保存の形式により変わる

就業規則は一度作ったら終わりではありません。
法改正や、人事制度の変更に伴い都度修正が必要となるものです。
社労士の先生によっては、法改正があったので修正しましょうか?と提案してくれる先生もいるでしょう。助成金を申請できそうなことに気づき、こちらから修正を提案することもあります。
逆に、社長から何か言われるまで特に動かないこともあるようです。

こちらから提案すると、お金がほしいだけのように見られることを嫌がるのかもしれませんが、会社のことを思うのであればルールは常に最新にしておくことを提案するのも仕事だと思います。
会社にある就業規則がWordやPDFに変換した状態であれば数万円くらいでしょうが、紙の状態ですとイチから作った方が安くなるのではと感じます。

特に一番時間がかかるのが、会社には紙で印刷された就業規則しか保管されていない場合だからです。
この場合は1文を修正するためであっても、すべての条文を打ち込む必要があります。
以前作成した就業規則では108条で約4万文字ありました。
平均的なタイピング速度が1分で50~60文字と言われているようですので、単純に11時間以上はかかる計算です。ここに条番号や項番号などの調整を考えると+αの時間がかかることが分かります。
OCRや生成AI、有料のサービスでデータを読み込ませるということもできますが、完全に読み込めるときばかりではありませんので念のためにすべての条文の確認はしています。

就業規則がWordやPDFに変換した状態であれば修正の手間は大幅に削減されます。
本則の作成のところでも記載しましたが、時間数×時間単価で見積を出すと全然金額が変わることが分かると思います。
Wordで納品してくれる社労士は少ないと思いますので、せめてPDFでの納品をお願いしておくと修正のコストが抑えられるのでよいでしょう。

修正するときのポイント
WordかPDFであれば数万円あればできる
紙しかなければ20万円くらいはみておきたい

終わりに一言

就業規則を作っていないところもまだまだ多く見かけますが、就業規則やそれに準ずるものに書かれていないと行うことができないこともあります。ルールは、問題が起きないようにするためでもありますし、問題が起きたときの対応をスムーズにするためにも必要です。
就業規則の無料診断を行っていますので、心配な方はお気軽にお問い合わせください。

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