東海地方の田舎町で【コンサルタント事務所】を運営している元りく社労士です。
退職したあとにすぐ次が決まっていればいいですが、そうでない時にお世話になるのが雇用保険の失業給付です。
さて、今回は失業給付について以下の3点にまとめました。
・雇用保険とは
・失業等給付
・その他の給付
雇用保険とは
社会保険の一つ
広義の社会保険と言われる
医療保険
年金
介護保険
労災保険
雇用保険
この中の一つが雇用保険になります。
一般的に会社員として就職をすると加入することになるのがこれらの保険になります。
ただし、介護保険だけは40歳以上を対象としているため、30代まではあまり馴染みのない保険になります。
給付の一例
・求職者給付
・高年齢求職者給付金
・教育訓練給付金
・育児休業給付
・介護休業給付
よく耳にしたり実際に給付を受けることが多いのは、失業給付と育児休業給付になります。
対象となるのは
雇用保険の被保険者は次の4種類に分かれています。
一般被保険者 | 以下のどれにも当てはまらない労働者 |
高年齢被保険者 | 65歳以上の労働者 |
短期雇用特例被保険者 | 4カ月を超える期間を定めて季節的に雇用され、 1週間の所定労働時間が30時間以上の労働者 |
日雇労働被保険者 | 日雇いで雇用される または、30日以内の期間を定めて雇用される労働者 |
以下の要件に当てはまる方は原則対象となります。
①1週間の所定労働時間が20時間以上
②31日以上の雇用見込みがある
ここで言う雇用とは、パートやアルバイトなど雇用形態は関係ありません。
原則とあるのは、以下に当てはまる方は対象とならないためです。
同居する親族
季節労働者
学生
などです。細かい条件はありますが、ここでは割愛しています。
参考:厚生労働省(雇用保険の被保険者について)
保険料の支払い
雇用保険料は賃金に対しての割合で支払います。
一般の事業、農林水産の事業、建設の事業で料率が異なります。
そのため支払う金額も変わりますが、高くても労働者の支払いは7/1000です。月額に換算すると、30万円の方で2,100円です。
事業主は雇用保険二事業の支払いが加算されるため、少し多くなりますが11.5/1000です。同じく月額に換算すると30万円の従業員で3450円です。
労働者は毎月の給与から天引きされるため多く感じないかもしれませんが、経営者は1年間まとめて7月に年度更新という形で支払うことになります。1年分となるため、ソコソコの金額となります。
失業等給付
雇用保険は大きく分けると失業等給付と育児休業給付、雇用保険二事業に分かれます。
今回は失業等給付に含まれる、基本手当についてピックアップします。
従業員が退職した時の流れ
従業員が退職すると使用者はハローワークに行って手続きをします。
以下の書類を提出します。
・資格喪失届
・離職証明書
離職証明書は、退職した方が59歳未満で離職票の交付を希望しない場合には不要です。そうでない場合には、出す必要があります。
勘違いされている方がいらっしゃいますが、交付を希望した退職者だけに発行すればよいわけではありません。
また、交付を希望しなかったとしても、後から交付を希望した時には交付をする必要がありますので注意が必要です。
退職した時にもらえる給付
1日あたり、退職前最後の6ヶ月間の賃金総額÷180を基準に、年齢や賃金日額により50%〜80%がもらえます。
所定給付日数は90日〜360日となっています。
例)大学卒業から35歳まで同じ会社に勤めていた年収420万円の方が自己都合退職をした場合
35万×6ヶ月÷180=11,666円が基準となります。6,500円前後をイメージしておくとよいのではないでしょうか。
最大で、6,500円×120日=780,000円を受け取ることになります。
受給までの流れは次の通りです。
元の事業主から離職票が届いたら、ハローワークで求職の申し込みをします。
通常、自己都合で退職をすると一般の受給資格者となります。会社の倒産などが理由の場合は特定受給資格者となり、所定給付日数が多めに設定されています。
離職証明書には離職の理由が書かれており、理由に納得できない場合は異議を申し出ることもできます。双方の主張から総合的に判断されます。
7日間の待機期間を経て受給が開始します。ただし、自己都合退職の場合は2ヶ月間の給付制限期間が設けられています。
ハローワークから指定される認定日が4週間に1回ありますので、その日に改めて出頭して該当の期間の日数が決まります。
所定給付日数は離職時の年齢、被保険者を継続していた期間、離職の理由を元に決められます。受給期間の1年間の間に受け取りましょう。
ちなみに、1社目を退職した時は、自己都合と書かれていましたが、事前に準備した書類を使ったところ会社都合になりました。
その他の給付
他の給付もいくつかピックアップしておきます。
育児休業給付金
1歳に満たない子を養育するために休業をした時に、賃金日額の50%〜67%が受け取れます。
産後56日までは健康保険の出産手当金になります。手続きの漏れがないようにしてあげましょう。
再就職手当と就業促進定着手当
受給資格者が早期に就職した時は、残っている日数の60%〜70%が受け取れます。受け取った分は支給済みとして扱われます。
さらに、継続して6ヶ月以上雇用された時の賃金が離職時から下回っている時には、残っている日数の40%〜30%を追加で受け取ることができます。
教育訓練給付金
厚生労働大臣が指定する教育訓練を受講した時に、受講費用の一部を受け取れます。
私は社労士の勉強で使おうとしましたが、条件を満たせず受け取ることができませんでした。ちゃんと見ておかないといけませんね。
終わりに一言
ハローワークで教えてくれることもありますが、全部ではありません。知っておいてよかったと思える知識の一つでした。