社保の月額変更とチェックポイント

社会保険

東海地方の田舎町で【コンサルタント事務所】を運営している元りく社労士です。
健康保険料や厚生年金保険料の変更の届出には、年に1度出す算定基礎届(定時改定)と大きく変動したときの月額変更届(随時改定)があります。算定基礎届は計算の仕方が少し大変ですが、月額変更届は見落としてしまうことがあることが後々大変になるところです。

さて、今回は見落としをしない随時改定のチェックポイントを以下の3点にまとめました。

  • 月額変更届が必要となるとき
  • 固定的賃金や賃金体系の変更とは
  • よくある質問

月額変更届が必要となるとき

固定的賃金の変更などがあったら

年に1回の定時決定で決まった社会保険料はその年の9月から翌年8月までは同じとなります。
しかし、固定的な賃金や給与体系が変わったことで変更があったときは、翌年の定時決定を待たずに変更されることとなります。これを随時改定と呼び、月額変更届が必要となります。

具体的には、以下のフローチャートがすべて「はい」となったときが対象となります。
どれか一つでも「いいえ」があれば対象とはなりません。

変動した月から3か月間の支払基礎日数がひと月でも17日に満たない場合は2⃣は「いいえ」となります。
特定適用事業所で働く短時間労働者の方は11日以上となり少し範囲が広くなります。

固定的賃金や賃金体系の変更とは

ここでの固定的賃金とは、支給額や支給率が決まっているものを指します。基本給や、家族手当、通勤手当、役職手当などが当てはまります。
逆に稼働実績によって支給されるものは固定的賃金とはなりません。残業代や精勤手当が当てはまります。

固定的賃金や給与体系の変更

では固定的賃金が変わったとはどういったときでしょうか。
具体的には、以下の条件を満たしていれば固定的賃金が変わったとみられます。
手当が変わったり時給を上げたことを見落としていたケースはよく見かけます。

  • 昇降給
  • 固定的手当の変更
  • 日給や時給の変更
  • 歩合給の単価や歩合率の変更、など

そして、給与体系の変更とは、日給から月給への変更や、月給から歩合給への変更が該当します。
新たな手当を作ったときもこちらに該当します。

インセンティブや臨時の手当が変わったことだけで月額変更をしているケースもありますが、これは対象外ですので必要ありません。

2等級以上の差がある

現在の標準報酬月額と、変更された固定的賃金の平均額を標準報酬月額表に当てはめたときの等級の差が2等級以上あると対象となります。
一例となりますが、24万から28万に昇給したときが1月であれば、4か月目の4月に月額変更届を提出します。
見落としがちですが、固定的賃金の変更だけでは2等級以上の差がなくても、残業代などを含めて2等級以上の差があれば対象となります。

こちらも見落としがちですが、月給10万円台の標準報酬月額表は1万円未満で等級が区切られています。そのため、下図のように9千円の変動で2等級以上変わることもあります。

よくある質問

月額変更のQ&A

Q
時間給に変更はないが、契約時間に変更がある場合は対象か?
A

契約時間の変更は固定的賃金の変更に当てはまるので対象となります。

Q
固定的賃金の変更はないが、残業代が多くなり2等級以上の差が出た場合は対象か?
A

残業代などの非固定的賃金の変更だけで2等級以上の差があっても対象とはなりません。

Q
固定的賃金が上がったが、残業代が減り2等級以上の差が出た場合は対象か?
A

固定的賃金の上昇と残業代などの非固定的賃金の減少で2等級以上の差がある場合は、原因と結果が一致しないため対象とはなりません。

Q
売上に対して一定の割合をインセンティブで支給しているが、売上の変化で2等級以上の差が出た場合は対象か?
A

美容院などで個人や店舗の売上に対してインセンティブが変わる給与体系の場合は、給与体系としてインセンティブの比率を変えたときやスタイリストのランクにより比率が変わったときが対象となります。

終わりに一言

月額変更はいつでも起こる可能性がありますし、さかのぼって対応しようとすると社会保険料の負担が大きくなります。労働者の方の負担にもつながりますので、抜け漏れなく対応しておきたいものです。
弊所では給与計算から日常の手続きまでをまとめたプランをご用意しています。不安があればお気軽にお問い合わせください。

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