東海地方の田舎町で【コンサルタント事務所】を運営している元りく社労士です。
年金や健康保険の制度には保険者、被保険者、被扶養者などの聞きなれないワードがよく出てきます。
さて、今回は被保険者と被扶養者の関係について以下の3点にまとめました。
- 対象となる事業所は
- 被保険者になる人とならない人
- 被扶養者と3号被保険者
対象となる事業所は
適用事業所
厚生年金や健康保険では、まず事業所を単位として適用し、そしてその事業所に使用される者を被保険者にするという2段階の適用の仕組みとなっています。
その中で、強制適用事業所と任意適用事業所に分けられます。
厚生年金と健康保険では若干範囲が異なりますが、ほとんど同じだと思ってもらって大丈夫です。
強制適用事業所とは、事業主や従業員の意思に関わらず、必ず適用される事業所のことを指します。
具体的には以下が該当します。
- 法人で従業員を雇っている
- 個人経営の適用業種で、常時5人以上を雇っている
- 船員が乗り込んでいる船舶
ここでの注意点がいくつかあります。
法人には、株式会社だけでなく社団法人や財団法人も含まれます。そして、代表取締役お一人の法人も対象となります。
5人以上の従業員を数える際には、パートタイマーや適用除外となる人も含まれます。
逆に、個人経営の農林水産業やサービス業の一部の場合、非適用業種となっています。
任意適用事業所
任意適用事業所は、強制適用事業所でない事業所が、厚生労働大臣の許可を得て適用事業所となることができる制度です。
個人経営の適用業種で、常時5人未満を雇っている場合と非適用業種の場合にどうするかを考えることになります。
許可を得るためには被保険者となる従業員の半分以上の同意を得る必要があり、取り消しをするためには同じく従業員の4分の3以上の同意が必要となります。
健康保険か国民健康保険かで言えば、健康保険の方がお得になることが多いです。厚生年金に加入していれば国民年金にも加入しているので、できれば厚生年金に加入したいものです。
不利益な変更とならないよう、取り消しの場合は条件が少し厳しくなっているんだと思っておきましょう。
被保険者になる人とならない人
一般的な被保険者となるには
適用事業所に使用される人は強制的に被保険者となります。これには、本人の意思や年収、国籍などは関係ありません。
また、使用されるかどうかの判断は、雇用契約の有無ではなく、事業主と使用者との間に実態的な使用関係があるかを報酬の支払いや稼働状況、人的管理などの面から総合的に判断して行われます。
法人の役員、就職内定者で職務実習中の者、試用期間中の者も対象となります。
保険料の支払いを減らしたいという理由で加入させていない例もありましたが、加入していない時に何かあっては労働者に大きな不利益があります。加入させておきましょう。
パートタイマーの適用
パートタイマーの適用には4分の3基準が関係してきます。
これは1週間の所定労働時間と1ヶ月の所定労働日数が、同じ事業所で同じ業務に従事している一般社員の4分の3以上である場合に被保険者となるものです。
もしこの基準を満たさない場合でも、次の条件を全て満たすと被保険者となります。
- 101人以上の事業所(令和6年10月から51人以上に変更)
- 1週間の所定労働時間が20時間以上
- 2ヶ月を超える雇用が見込まれる
- 報酬が88,000円以上
- 学生でない
101人以上の事業所を特定適用事業所と言いますが、以前は501人以上となっており大きな事業所のみを対象としていました。令和4年10月から101人以上が対象に変更され、令和6年10月からは51人以上が対象になります。
被扶養者と3号被保険者
健康保険の被扶養者
健康保険では、被保険者に扶養されている家族も被扶養者として給付を受けることができます。被扶養者に認定されれば、保険料を負担しなくても保険給付を受けることができます。
認定されるためには、以下の条件から判断されます。
- 被保険者の収入によって生計を維持
- 配偶者、子供、孫、父や母などの直系尊属
- 3親等以内の親族など
- 年収が130万円未満
- 国内に居住している
これを全て満たさなければならないという訳ではなく、ここに同居の有無などの条件がついて判断されるということです。
俗に言う、扶養の話になるとよく出てくる〇〇万円の壁の内、130万の壁はここに該当するものになります。
国民年金の3号被保険者
健康保険では被扶養者となりましたが、厚生年金には被扶養者はありません。
代わりに、会社員の配偶者で、国内に居住していて、20歳以上から60歳未満の人は国民年金の3号被保険者になります。
該当するかは、上記の被扶養者と同じ基準で判断されます。
3号被保険者は、名前は被保険者ですが年金を収める必要はありません。
終わりに一言
毎年変わっていく制度のため分かりにくさがありますが、ワードを知っているだけでも多少理解が進むかもしれません。