雇用管理の整備と助成金

労働法・労働保険

東海地方の田舎町、美濃加茂市で【コンサルタント兼社労士事務所】を運営している元りく社労士です。
最近では毎年最低賃金の引上げがあったり、春には春闘のニュースを受け、中小企業の中でも昇給を検討しているという声を聞きます。
ただ、個人的には昇給は慎重に行う方がよいという意見を持っています。
個人的な意見とは別に、昇給に大きく影響してくる評価制度の制定に関しては、実は助成金や補助金が受給できる可能性もあります。

さて、今回は雇用管理制度と賃上げに関わる助成金について以下の3点にまとめました。

  • 雇用管理に関わる補助金と助成金
  • 人材確保等支援助成金とは
  • 雇用管理制度・雇用環境整備助成コースとは

雇用管理に関わる補助金と助成金

賃上げは毎年のように行われていますが、実は同時に取り組んでおくと受給できる補助金や助成金があります。
まずは、それぞれをまとめて簡単にご紹介しておきたいと思います。
補助金と助成金の違いやそれぞれの助成金のご紹介は個別の記事も書いていますので、そちらをご一読いただければ幸いです。

補助金のご紹介

補助金はざっと見つかっただけでも5つの補助金がありました。
ただ、補助金は申請期間が限られていますので、タイミングに合わせてどの補助金を使うのかをよく考えなければなりません。
補助金の中には、賃上げが必須となっているものもあれば、賃上げをすることで増額されるものもあります。

補助金名概要
小規模事業者持続化補助金生産性向上や販促活動により持続的な経営を補助
ものづくり補助金生産性向上のための革新的な製品・サービス開発などの設備投資を補助
IT導入補助金業務の効率化やDX推進のためのITツールの導入を補助
中堅・中小成長投資補助金中堅や中小企業が成長を目指して行う大規模投資の促進を補助
中小企業新事業進出補助金既存事業と異なる新事業に進出することを補助

5月から申請が始まっている持続化補助金は過去に弊所でも活用しておりますし、何度か記事にもしております。

他の補助金については細かく書いたことがありませんでしたので、以前書いた年末の補正予算の記事でまとめてご紹介しておきます。

今までに記事にしたことがなかった大規模成長投資補助金は、こちらにリンクを貼っておきます。ご興味がある方はそちらもご覧ください。

助成金のご紹介

続いて助成金ですが、こちらは6つありました。
賃上げだけでなく、雇用環境の整備でも受給できるものもあるのが補助金との違いになります。
また、助成金は要件さえ満たせば受給できるものとなりますので、今後を見据えて制度を見直しを検討してみてもよいかと思います。

助成金名概要
業務改善助成金事業場内の最低賃金を引き上げと設備投資をしたときに助成
キャリアアップ助成金非正規雇用を正社員にしたときに助成
働き方改革推進支援助成金労働時間の削減に取り組んで、労働能率を増進する設備導入を助成
人材開発支援助成金職務に関連した知識や技能を習得させる場合に助成
人材確保等支援助成金人材確保のための雇用管理改善により離職率低下を実現したときに助成
特定求職者雇用開発助成金高年齢者や障がい者、氷河期世代の雇い入れをしたときに助成

人材確保等支援助成金とは

魅力ある職場づくりのための助成金

人材確保等支援助成金とは、魅力ある職場づくりのために労働環境の向上をすることで、離職率の低下を実現した事業主などに対して助成される助成金となります。

一時的に受付が停止されていましたが、注目していた一つ目のコースが令和7年4月1日から新規受付を開始していることから、ここで取り上げたいと思います。
他にもあり、全部で7つのコースが用意されています。

コース名受給額
雇用管理制度・雇用環境整備助成コース管理制度:1制度につき20万円or40万円
(最大100万円)
機器の導入:187.5万円
中小企業団体助成コース600~1,000万円(費用の2/3)
建設キャリアアップシステム等活用促進コース建設技能者1人あたり16万円(経費の2/3)
若年者及び女性に魅力ある職場づくり事業コース(建設分野)1人あたり日額8,550円(経費の3/4)
作業員宿舎等設置助成コース(建設分野)最大で経費の3/4
外国人労働者就労環境整備助成コース1制度につき20万円(最大80万円)
テレワークコース制度導入:1企業あたり20万円
目標達成:1企業あたり最大15万円

それぞれのリンクが厚生労働省の助成金ページとなっていますので気になるものがありましたら、目を通すと参考になるものが多いと思います。

雇用管理制度・雇用環境整備助成コースとは

離職率の低下を目指す

今回は上記でご紹介した人材確保等支援助成金の中から、雇用管理制度・雇用環境整備助成コースをピックアップしてご紹介します。
本コースの中にも大きくA「雇用管理制度」と、B「雇用環境整備」の二つがあり、A「雇用管理制度」はさらに5つに細分化されます。

雇用管理制度区分助成額上限額取り組み内容
(A)賃金規程制度40万円
(最大50万円)
80万円
(100万円)
賃金規程や賃金表を整備
(A)諸手当等制度同上同上諸手当や退職金、賞与を導入
(A)人事評価制度同上同上生産性向上のための人事評価制度を導入
(A)職場活性化制度20万円
(最25万円)
同上メンター制度、従業員調査、1on1ミーティングを導入
(A)健康づくり制度同上同上人間ドックを導入
(B)雇用環境整備対象経費の1/2
(最大62.5/100)
150万円
(最大187.5万円)
直接作業を業務負荷軽減機器に置き換える整備
https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/001478585.pdf

すべての制度の詳細まではご紹介できませんので、取り組み内容を簡単にまとめました。詳細が気になるという方は、表の下にあるリンクからパンフレットをご確認ください。

上記の制度の中でいくつかの制度を同時に整備することで受給が上限額まで増額することになります。
例)※賃金要件を満たした場合のイメージです。
①賃金規程を整備(50万円)+人事評価制度を導入(50万円)=合計100万円
②退職金を導入(50万円)+メンター制度を導入(25万円)+負荷軽減機器の導入(187.5万円)=合計262.5万円

終わりに一言

さて、今回は賃上げに関わる評価制度や雇用管理制度について触れてみました。
やみくもに賃上げをするだけでなく、評価制度も見直すことで補助金や助成金の対象となれば運営の手助けになることも多いでしょう。
個別の事象が気になるという方は、無料相談を承っております。お気軽にお問い合わせください。

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