東海地方の田舎町で【コンサルタント事務所】を運営している元りく社労士です。
職場には決められた(明文化された)ルールやなんとなく(暗黙の上で)のルールがあることが多いです。
さて、今回はよくある職場でのルールを労働基準法の視点から以下の3点にまとめました。
- 労働時間管理について
- 有給の扱いについて
- 罰則の規定について
労働時間管理について
NG)休憩時間でも電話が鳴ったら対応する
休憩時間は電話対応させてはいけません!
休憩時間は労働から解放されて労働者が自由に使うことができる時間のことを指しています。
電話が鳴ったら対応する状況というのは、労働から解放されていないため休憩時間とはなりません。
例)事務職の方がデスクで食事を取っていて、電話対応をした
接客業の方が休憩中にお客様が来たので対応した
などの例は休憩時間を適切に与えているとは言えません。
なお、馴染みはありませんが、休憩時間には一斉付与の原則があります。
事業場の全労働者は一斉に与えなければならないというものです。(労使協定締結で交代休憩も可能)
NG)労働時間は労働者の自己申告
使用者が労働時間を正しく管理しましょう!
1週間の法定労働時間は40時間というのは多くの方がご存知かと思います。
その40時間を働いたということを使用者が確認することも求められています。
方法)使用者が自ら確認する
タイムカードなど客観的な記録で確認する
労働者の自己申告では、実際に働いている時間より短く申告しているケースも散見されます。
不正に水増しすることもできてしまいますので、確認はしっかりと行いましょう。
私が過去に見た事例では、残業時間が月45時間が続いている自己申告書類がありました。きっちり45時間というのは不思議だったので聞いてみると、会社の暗黙のルールで45時間で申請するよう先輩から後輩に受け継がれていたようです。
有給の扱いについて
NG)有給は使わないのが当たり前
有給は使わせてあげましょう!
令和元年の法改正により、年次有給休暇の付与義務が追加されました。
これは、①10労働日以上の有給が付与される労働者に対し、②5日について、③付与から1年以内に与える、とするものです。
パートやアルバイトで働く方の中には10日の付与がないケースもありますが、フルタイムで働く方は1年目に10日、2年目に11日と付与されています。
労働者が1年間で1日も有給を使用しないということがないよう、使用者は有給の日数も管理していく必要があります。
NG)有給を使うのに理由がいる
有給に理由はいりません!
年次有給休暇は労働者の権利として認められています。
有給を使いたいと申請があれば、原則受け入れる必要があります。
NG例)冠婚葬祭以外は使えない
上司の納得できる理由がいる
などは、自由利用できるという原則に反してしまいます。
例外として、使用者には時季変更権というものがあります。
その人労働者に休まれると業務が回らないという場合には、他の時季に与えることができるものです。
中には、この時季変更権を持ち出して、サービス業の土日の有給を断ったり、平日に振り替えたりする例もありますが、使用者には十分な配慮が求められているため、よほどのことがないと難しいという判断です。
美容業などは、お客様の予約があって業務が動いています。指名が入れば、その人に休まれると業務は回らなくなると言えます。その場合でも使用者は配慮していく必要があります。
罰則の規定について
NG)遅刻したら罰金、減給がある
罰金などの制裁は就業規則に定めましょう!
遅刻したら〇〇円の減給、という例はたまに耳にします。
遅刻した時間分の給料を払わない分には問題ありません。
しかし、それ以上の額を減給してはいけないことになっています。
もし、制裁をする必要がある場合は、就業規則に定めておく必要があります。
減給の他に、出勤停止や降格、懲戒解雇なども同様です。
さらに、減給の額は、1日の半額までで1回の支払い額の10分の1までという制限もあります。
NG)備品などの修理代は給料から天引き
現実に発生した額までにしておきましょう!
備品などを紛失、故障させてしまった時に修理するのは会社になります。
しかし、労働者の不注意で壊してしまったとなれば労働者に直してもらいたくなります。
だからと言って、修理代金として給料から天引きしてしまうのはやってはいけません。
この場合は、一度全額を支払ってから実際に発生した額を請求します。
注意点としては、その備品の今の価値(新品と中古は値段が違います)や過失の割合(労働者だけに責任があるのか使用者にもあるのか)などを考慮しなければ過剰な請求となってしまう可能性があることです。
おっちょこちょいな労働者がいるからと言って、今後のために賠償金額を予定することを決めることもいけないとされています。
あくまで発生した損害の範囲内で留めておきましょう。
終わりに一言
どれも実際に耳にした事例です。実はダメだったとならないよう、職場のルールも見直していきたいものです。