東海地方の田舎町で【コンサルタント事務所】を運営している元りく社労士です。
事業を運営していく上で上手に付き合っていくとよいのが補助金などの制度です。
さて、今回は補助金について以下の3点にまとめました。
- 補助金と助成金の違い
- 創業時に使いやすい補助金
- 創業時以外で使いやすい補助金
補助金と助成金の違い
国や地方自治体が事業者をサポートするために支給しているものです。
似たような制度ですが、明確な違いが設けられています。
給付金ともまた違う制度になりますので、〇〇補助金などの最後についている言葉に注意しましょう。
大まかな違い
補助金 | 助成金 | |
---|---|---|
管轄 | 経済産業省など | 厚生労働省など |
目的 | 産業の育成や経済の活性化 | 労働環境改善や雇用対策 |
金額 | 多め(数百万円を超えるものも) | 少なめ(数十万円程度) |
公募期間 | 特定の期間 | 長期間 |
難易度 | 審査で落ちることもある | 要件を満たしていれば支給される |
専門家 | 中小企業診断士、税理士など | 社会保険労務士 |
共通していること
以下の項目はどちらにも共通しています。
・事業計画書の作成が必要
・返還は必要ない
・後払い方式
・事業期間が定められている
・申請から支給までの期間が長い
・違反には罰則もある
申請できる期間が定められているため、期間内に書類の準備を進めなければなりません。
事業期間が終わったら報告書を提出するものであれば、計画通り事業を実行できたのかを含めて数字をまとめる必要があります。
初めて作成するとなると時間もかかりますし、本業を疎かにもできないため専門家を頼るという手もあります。ただし、その場合はいくらか出費が増えることになります。
慣れている人が作るため、一人で完成させるよりは申請には通りやすいというデータもあります。
創業時に使いやすい補助金
これからというタイミングで使えそうなもの2つです。
持続化補助金
名前からすると創業時には使えなさそうですが、開業している事業であれば申請は可能です。
採択率が高い時や低い時がありましたが、直近は60%前後で推移しています。
通常枠 補助率2/3、上限50万円
賃上げ枠や創業枠など 補助率2/3、上限200万
インボイス特例 上記に50万円(インボイスの要件を満たしている場合)
注意点はwebサービス関連に使うことができる割合が決められているということです。
地域の商工会・商工会議所に行くと相談員の方が丁寧に教えてくださいます。
IT導入補助金
名前から想像できる通り、ITに関連するものを導入した時の補助金です。
枠により採択率は異なりますが、50%以上で推移しています。
通常枠(A類型、B類型) 補助率1/2、補助額150万円未満〜450万円以下
セキュリティ対策推進枠 補助率1/2、補助額100万円
デジタル化基盤導入枠 補助率1/2〜3/4、補助額350万円(最大)
こちらの注意点は、ITサービスを導入するために登録されているベンダに依頼する必要があるというところです。提供されているプランの中で一番お値打ちなものが対象外になっていると、結果的に割高な料金を支払うことになる可能性もあります。
創業時以外で使いやすい補助金
事業の再出発や新事業を立ち上げる時に使えそうなもの2つです。
事業再構築補助金
経済社会の変化に対応するために、思い切った事業再構築をする中小企業等の挑戦を支援します。
採択率は通常枠が40%〜50%で推移しています。
枠は直近の10回で8類型あり、下記のものづくり補助金と同じように向上させる目標がありますが、枠により異なっています。
成長枠 補助率1/2〜2/3、補助額7000万円(従業員数よって異なる)
グリーン成長枠 補助率2/3、補助額1.5億円
物価高騰対策・回復再生応援枠 補助率1/2〜2/3、補助額3000万円(従業員数よって異なる)
他、割愛
事業再構築は成長枠(以前は通常枠)の比率が高く約6割あります。給与支給総額の向上割合や賃金の上昇額などが要件にありますので、計画が重要になります。
ものづくり補助金
中小企業等が取り組む革新的サービス開発・試作品開発・生産プロセスの改善を行うための設備投資等を支援します。
基本要件として以下の項目が設定されています。
・給与支給総額を年率+1.5%以上向上
・地域別最低賃金+30円以上向上
・付加価値額を年率平均3%以上向上
採択率は50%〜60%で推移しています。
通常枠 補助率1/2〜2/3、補助額1250万円(従業員数よって異なる)
回復型賃上げ・雇用拡大枠など 補助率2/3、補助額1250万円(従業員数よって異なる)
グリーン枠 補助率2/3、補助額4000万円(従業員数よって異なる)
グローバル市場開拓枠 補助率1/2〜2/3、補助額3000万円(従業員数よって異なる)
設備の導入により複数の指標を向上させることになるため、事業再構築同様に計画や実行していくスケジュールも重要となります。
ただ、上限は高く小規模事業の場合は補助率は2/3となることが多いため、積極的に活用したいところです。
最後に一言
他にも地方自治体でも補助金を行なっていることもあります。予算に到達するまでは採択率は高い傾向にあるようですので、事業計画と相談して最適なものを選んでいきましょう。