障害年金と支給申請

社会保険

東海地方の田舎町で【コンサルタント事務所】を運営している元りく社労士です。
社労士の業務範囲には企業向けの労務相談や顧問契約の他に年金の相談も含まれています。他の士業でも同じかもしれませんが、業務の範囲が広く、汎用性がなく意図的に受付けていない事務所も多くあります。
代表的なものが障害年金ではないでしょうか。やっているところは専門としていますが、やっていないところはまったくやっていない気がします。

さて、今回は障害年金の制度と支給申請について以下の3点にまとめました。

  • 障害年金の制度
  • 支給申請
  • 受給額と報酬の目安

障害年金の制度

障害年金とは

病気やけがなどによって日常生活が制限されることになってしまった場合に受給することができる年金が障害年金というものになります。
年金という名前から老後の印象がイメージですが、20歳から65歳までの方が請求することができます。
若年層でも受給できる年金のため、現役世代でも受給している方は多くいらっしゃいます。

障害年金の対象は、事故で障害を負ってしまった人や生まれつき障害をお持ちの人以外にもたくさんあります。
うつ病などの精神疾患を患ている方や発達障害と診断されている方、人工透析などを行っている方も対象となります。
名前が似ているので障害者手帳を持っていないといけないと思われがちですが、これらは別の制度となっているため、障害者手帳がなくても受給できるケースもあります。また、障害者手帳の等級と障害年金の等級が違うということも起こります。

障害基礎年金と障害厚生年金

日本の年金制度が2階建てになっていますので、障害年金にも2つの年金があります。
国民年金から支給されるのが障害基礎年金で、厚生年金から支給されるのが障害厚生年金になります。

支給のためにはいくつかの要件がありますが、初診日によって変わってきます。
なお、厚生年金保険に加入していると国民年金にも加入していますので、厚生年金保険に加入中に初診日があった方が受給されることになればそれぞれから受給できます。

対象となる初診日
障害基礎年金国民年金に加入している間
60歳~65歳の間
(※20歳前)
障害厚生年金厚生年金保険に加入している間

他にも要件はありますが、納付要件も忘れてはいけません。
国民年金の未納の記事は以前にも書きましたが、未納期間が全加入期間の1/3を超えてしまっていると納付要件を満たすことができません。
令和8年4月までの特例もありますが、自営業等で国民年金に加入中の方は納付を忘れないようにしておきましょう。

支給申請

申請までの流れ

申請のパターンとしては、次の2つがあります。
・障害認定日による請求:障害認定日に一定以上の障害等級に該当する場合
・事後重症による請求:障害認定日以降に症状が悪化して一定以上の障害等級に該当した場合
今回は障害認定日に一定以上の障害等級に該当したという場合で流れを見ていきます。

医師に書いてもらう必要がある書類も多く、役所に取りに行く書類もあるため時間がかかってしまいます。
診断書を書いてもらってからの期限もあるため、早めに年金事務所や社会保険労務士に相談して進めていくとよいでしょう。

請求の手続き
  • Step1
    医師に診断書を書いてもらう

    障害等級に該当していることが分かる診断書を医師に書いてもらいます

  • Step2
    初診日を証明する書類をもらう

    障害と認定された原因となった病気やけがで最初に受診した病院で書いてもらいます

  • Step3
    保険料納付要件を確認する

    年金事務所やマイナポータルで確認できます

  • Step4
    年金請求書を作成する

    年金事務所や年金機構のウェブサイトからダウンロードできます

  • Step5
    病歴・就労状況等申立書を作成する

    障害の原因となった病気やけがが発生してから現在までを時系列ごとに詳細に記載します

  • Step6
    その他の必要書類を準備する

    基礎年金番号が分かる書類、本人の生年月日が分かる書類、受取先金融機関の通帳などが必要となります
    加算対象となる子などがいる場合は、子に関する書類が必要となる場合があります

  • Step7
    請求書類を提出する

    年金事務所に書類を提出します

  • Step8
    審査結果が届く

    届くまでには数か月以上かかります

年金の受給が決まった場合も、受給できなかった場合も、それが生涯続くわけではありません。
症状が軽くなったり、逆に重くなることもありますので、定期的に見直しが入ります。
引き続き医療機関に罹ることが必要な状況であれば、1年経った後に再度申請することもできます。

受給額と報酬の目安

等級ごとの受給額

障害年金の受給額は障害認定された等級により変わります。
厚生年金に加入中の方が金額は多くなりますし、お子さんや配偶者など養う方がいらっしゃる方の方が金額は多くなります。

障害等級障害基礎年金の金額障害厚生年金の金額
1級1,020,000円+子の加算報酬比例の年金×1.25+配偶者加給年金
2級816,000円+子の加算報酬比例の年金+配偶者加給年金
3級  -報酬比例の年金
(最低保証612,000円)
障害手当金  -報酬比例の年金の2年分
(最低保証1,224,000円※一時金)

厚生年金の報酬比例の年金は加入期間や標準報酬月額により変わるため一概には言えませんが、加入期間は長いほど、標準報酬月額は高いほど多くなります。

報酬の目安

ご自身で書類を揃えて提出すれば、手間はかかりますが費用はかからずに年金を受給できるかもしれません。
しかし、いざ書類を揃えたり、記入することになると非常に難しいと感じる場合もあるでしょう。
そんな時には社労士などの専門家を頼るのも一つの手段かもしれません。

気になる報酬ですが、年金受給額の1.5~2か月分が目安となります。
年金は2か月に1度振り込まれますが、年金受給額が120万円となった場合は1回で20万円となります。その額が成功報酬となります。
成功報酬は事務所により異なりますし、別で書類作成費をいただくこともあります。

また、年金の受給にも時効があります。5年前までの年金は一括で請求することもできます。遡って認められれば上記の金額の5年分となるため非常に大きな額となります。
これはイレギュラーなケースですが、一時金で受け取った総額の10~15%を報酬としているところもあります。

終わりに一言

事故や健康に気を付けていても、何が起きるか分かりません。万が一のとき、生活を安定させるための社会保障が年金制度となります。受け取ることができなかったということがないよう、納付はしっかりと、病気やけがで障害を持つことになってしまった場合は、年金事務所や社労士に相談してみましょう。

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