最低賃金引上げと割増賃金の注意点

労働法・労働保険

東海地方の田舎町で【コンサルタント事務所】を運営している元りく社労士です。
今月から全国的に最低賃金の引上げが行なわれています。24時をまたいで稼働している場合は別の注意が必要ですが、一般的には10月1日以降の賃金について注意が必要となります。

さて、今回はを以下の3点にまとめました。

  • 最低賃金の引上げ
  • 割増賃金の計算
  • 今後の注意点

最低賃金の引上げ

今月から多くの都道府県で最低賃金が引き上げられます。
引上げについての内容は以下の記事にまとめてありますので、業務改善助成金の活用と合わせてご確認いただけると幸いです。

最低賃金の考え方については厚生労働省に詳しく説明がありますので、こちらも参考になります。

【最低賃金の対象とならない賃金】

  • (1)臨時に支払われる賃金(結婚手当など)
  • (2)1箇月を超える期間ごとに支払われる賃金(賞与など)
  • (3)所定労働時間を超える時間の労働に対して支払われる賃金(時間外割増賃金など)
  • (4)所定労働日以外の労働に対して支払われる賃金(休日割増賃金など)
  • (5)午後10時から午前5時までの間の労働に対して支払われる賃金のうち、通常の労働時間の賃金の計算額を超える部分(深夜割増賃金など)
  • (6)精皆勤手当、通勤手当及び家族手当
https://saiteichingin.mhlw.go.jp/point/page_point_targetwages.html

時給労働者への対応

時給で雇用している方ばかりであれば、最低賃金の対象となる時間給の計算は簡単にできます。
上記の表を参考に、対象となる賃金を計算したときに地域別の最低賃金を上回っていれば問題ありません。
時給制の労働者でも、役職手当や通勤手当などの手当が複数支給されていれば、対象の有無を間違えないようにして計算しましょう。

日給や月給労働者への対応

日給や月給の労働者の場合、最低賃金の計算のためには、年間の所定労働日数や1日の所定労働時間を考えて計算しなければなりません。

例)
基本給150,000円、職務手当30,000円、通勤手当5,000円、時間外手当35,000円の合計220,000円
年間所定労働日数250日、1日の所定労働時間8時間だった場合
220,000円-(5,000円+35,000円)=180,000円
(180,000円×12か月)÷(250日×8時間)=1,080円
時給では1,080円となりますので、地域別の最低賃金が1,080円以下であれば問題ありません。

所定労働日数は就業規則や労働契約書に定められています。

割増賃金の計算

割増賃金の基礎

割増賃金は時間外・休日・深夜に労働をさせた場合に事業主が支払う必要がある賃金のことです。
割増賃金を計算するにあたり、基準となるのは「通常の労働費または労働時間の賃金」です。

除くことができる賃金には以下のものが含まれています。
・家族手当
・通勤手当
・別居手当
・子女教育手当
・住宅手当
・臨時に支払われた賃金
・1か月を超える期間ごとに支払われる賃金
以上の7つは、手当の名前で判断されるのではなく、実質はどうなのかで判断されますのでご注意ください。

なお、少し注意点があります。
家族手当を家族の数に関わらず支払っている場合や、住宅手当を全員に支払っている場合は除くことはできません。
役職手当や特殊作業手当などは含めて計算する必要があります。

今後の注意点

反映モレや計算ミス

10月から引上げとなりますが、口頭では伝えていたものの、反映せずに支払ってしまったというケースを耳にします。
賃金が変わってくると割増賃金の計算も変わってきます。
従業員からすると、もらえるはずの給与が一部受け取れていないことで信頼関係にも影響してしまいます。

今回は触れませんでしたが、基本給が変わることになりますので、社会保険料の等級に影響が出る方もいるかもしれませんので、念のため確認しておくとよいでしょう。

終わりに一言

社会人として働いているとなんとなくの知識は知っていても、詳しく知らないままということもあると思います。
お困りごとがあれば、労働局や社会保険労務士に相談してみることをお勧めします。
弊所にも問い合わせが増えてきていますが、無料相談は受け付けておりますので、お気軽にお問い合わせください。

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