東海地方の田舎町で【コンサルタント事務所】を運営している元りく社労士です。
私はお客さんはもちろんのこと、複数の経営者の集まりにも顔を出しているので、多くの経営者からご相談を受けることがあります。
人に関しての話は、どこの経営者とお話をしていても話題にあがることから、人手不足は深刻な問題と感じています。
ただ単に媒体に掲載するだけでなく、どのようにアピールすると効果的かという視点を持つことが重要だなと感じます。
さて、今回は求人に有効になるかもしれない厚労省の認定制度について以下の3点にまとめました。
- 求職者が募集を見るとき
- 3つの認定基準
- 求人票でアピールする
求職者が募集を見るとき
給与以外も見られている
企業が求人を書けるという場面は、大きく分けて新卒採用と中途採用の2つがあります。
新卒採用はコストがかかるということで、事業が軌道に乗るまでは中途採用をメインにしている企業が多いのではないでしょうか。
それぞれの場面ごともそうですし、求職者の知識量によっても、求人票のどこを見ているかは分かれているのではと感じています。
新卒採用と中途採用のそれぞれで、どこを見ているのかを紐解いてみたいと思います。
〇新卒採用
ここでは、過去にアルバイト以外で企業で働いたことがない方を新卒と定義します。
新卒カードという言葉があるようですが、新卒でないと選考のテーブルに上がらないと言われる企業があるのも事実です。
そんな新卒の求職者は選考時点では学生さんです。今までに仕事探しと言えば、アルバイトしかないという方がほとんどでしょう。
学生の頃のアルバイト探しを思い返してみると思い当たることがあるかもしれませんが、以下のような基準で選んでいませんでしたでしょうか。
・時給が良い
・家から近い
・お店がおしゃれ
・シフトが自由
・友達の紹介
アルバイトの求人を探すときは、タウンワークのような求人情報誌を見ることがあると思いますが、情報はとても少なく必要最低限しか書かれていません。
今後ずっと働き続ける職場でもないという思いから、あまり深く考えていない可能性もありますが、情報量や知識が少ないため、どうしても時給など書かれている情報を参考にして応募せざるを得ないのです。
〇中途採用
ここでは、過去に一度でも就職をしたことがある方を採用することを中途採用と定義します。
新卒のときにも求人票を見ましたし、転職活動でも見ている方が多くいます。つまり、求人票や求人情報を見慣れている方もいらっしゃるということです。
求人票に書かれている内容と就職してからの実態が異なっていたことで、つらい思いをした人もいるかもしれません。
そうなってきますと、求人票に書かれている情報をより細かく見て、面接の場で質問してくることも考えられます。
具体的には、以下の項目を見ていることが新卒との差かなと感じています。
・年間休日
・有給消化日数
・月間の残業時間数
・育児休業取得者数(男女)
・女性の管理職者数
ハローワークの求人票にもこれらの情報は書かれていることがありますので、見ている方が増えているのかもしれません。
アルバイトとは違い、これから何十年も働くかもしれない場所を決めるので、ライフステージの変化にも対応できるようにしているかを気にするのは当然の流れとも言えます。
3つの認定基準
認定基準とは
最初に3つある認定基準をまとめて見ておきます。
えるぼし | 女性活躍推進法 | 女性の活躍推進に関する取組の実施状況が優良である等の一定の要件を満たした事業主は、都道府県労働局への申請により、厚生労働大臣の認定(えるぼし認定)を受けることができます。 |
くるみん | 次世代育成支援対策推進法 | 企業が次世代育成支援対策推進法に基づいた⾏動計画の策定・届出を⾏い、その⾏動計画に定めた目標を達成するなどの一定の要件を満たした場合、「子育てサポート企業」として認定(くるみん認定)を受けることができます。 |
ユースエール | 若者雇用促進法 | 若者の採用・育成に積極的で、若者の雇用管理の状況などが優良な中小企業を厚生労働大臣が認定(ユースエール認定)するものです。 |
これら3つの認定基準がありますが、認定企業は日本政策金融公庫の融資を受けるときの金利の引き下げをうけることができます。
取得までの流れ
事業主が行動計画を策定して、労働局に届出ます。
それぞれ要件が違っていたり、事前にやらなければならないこともありますので、認定企業になることを目指している事業主の方は事前に調べておきましょう。
なお、認定企業になったから自由にしてはよいのではなく、定期的に関連する情報の公開が必要になります。
難しいなと感じてしまう方は、専門家である社労士を頼ったり、各県の労働局に問い合わせをしてみてください。
求人票でアピールする
長く働くことができる職場か
職場を転々としたい人は別ですが、多くの求職者は次に働く職場で成長し、ステップアップし、長く働くことができる職場を探したいと考えていると思われます。
そんな職場と客観的に受け取ってもらうことができるのが、今回ご紹介してきた認定基準になります。
女性のライフステージの変化に対応していることは、気にしている求職者も多い内容になります。
それぞれ、法律に基づいて認定をされていることはもちろんですが、ハローワークでも積極的に紹介してくれていますので、求職者へのアピールとしては最適なのではないでしょうか。
自分が成長できる職場か
私が就職活動をしていた時期はブラック企業というものがありました。私自身も新卒で働いた会社は今で言うブラック企業でした。15人ほどいた同期は1年で5人になり、3年後には2人にまで減っていたように記憶しています。
ブラック企業の話題は最近ではあまり聞かなくなりましたが、逆にホワイト企業に就職した人の短期離職という話を目にすることもあります。
ホワイト企業に就職できたのであれば、頑張って成長を目指せばよいのにと考えてしまいますが、どうやら成長を目指せないことを感じて転職を考えてしまうようです。
プレッシャーがありすぎるのも問題ですが、まったくないのも定着と言う視点では問題となることもあるようです。
そんな中、今回の認定基準を取得していれば、若者の成長に積極的に取り組んでいることの現れにもなりますので、良いアピール材料となるかもしれません。
終わりに一言
求人が集まらないという声はたくさんの経営者から聞きます。
人がいないことで従業員に負担が偏ってしまい、離職するというような悪循環を断ち切るためにも、求人票でアピールできることを増やしておけるとよいですね。
もし、認定企業となることを目指したい経営者の方がいらっしゃいましたら、お手伝いしますのでお気軽にお問い合わせください。