東海地方の田舎町、岐阜県美濃加茂市で【社会保険労務士・中小企業診断士】として企業の支援をしている元りく社労士です。
私の顧問先にも固定残業代を支給している会社も多いですが、どのような会社では有効なのかをご相談を受けることがあります。
そして、名称を変えて支給するケースもありますが、取り入れる際には注意しておく点もあります。
さて、今回は、固定残業代のメリット、デメリットと名称を変えて支払うことの可否について以下の3点にまとめました。
- 固定残業代とは
- 固定残業代の〇×
- 名称が違うケース
固定残業代とは
残業を見込んだ手当
固定残業代というものは、毎月の残業時間が何時間であっても、定額の残業代を支払うことです。
会社によっては固定残業手当やみなし残業手当のような名称で支給していることもあります。私が新卒で入社した会社では、営業手当(みなし残業手当)のような名称で支給されていたような記憶があります。
労働者が実際に何時間の残業をしたかに関わらず、毎月固定の残業代を支払う制度となります。
固定残業という名前からも分かるように、毎月固定された金額を残業代として支給します。実際には残業がなくても同額を支払う必要があります。
私が新卒で働いた会社のようにみなし残業という名前をつけていることもありますが、同じようなものと誤解しているケースもよく見られます。
固定残業代の〇×
〇(メリット)
【使用者向け】
①求人で給与を高く表示でき、求職者にアピールしやすい
②給与計算の手間を減らすことができる
【労働者向け】
❶残業が少なくても定額がもらえる
①
採用時の給与を30万円で募集したいと思っていて、平均の残業代が3万円分程度発生する会社を例にとります。
固定残業代を導入していないと、「月給30万円(残業代別途支給)」と表記して募集をかけます。
固定残業代を導入していれば、「月給33万円(基本給30万円、固定残業代3万円)」と表記して募集をかけます。
一見した月給では3万円の差がありますので、給与が高いことをアピールすることができます。
②
給与計算をする際には、1日8時間、週40時間を超えている労働の時間を数えて割増して残業代を与えなければなりません。加えて、22時~5時までの勤務や休日に対しても割増を計算する必要があります。
固定残業代を支払っているから計算しなくてもよいとはなりませんが、明らかに固定残業代で決める時間を下回っているようでしたら計算が楽になります。
❶
固定残業代として支給されている時間数まで働かなければならない義務はありません。
仕事がスムーズにできる人でしたら残業をしないことで実質の時間給を高めることができます。
×(デメリット)
【使用者向け】
①業務量が減っても固定残業代を減らしづらい
②制度設計に穴があると未払い残業代を請求される可能性がある
【労働者向け】
❶残業代の計算結果が実際より少なくなっていることがある
①
業務量が減ったとしても、固定残業代を減らすことは不利益な変更と言われてしまうことがあります。
一定の業務量が維持できていれば問題ありませんが、季節や顧客の要因で業務量が変動する場合には導入は慎重になった方がよいです。
②
固定残業代で決めた時間数を超えた時間に対しては割増の支払いが必要となります。
未払い残業代の時効は原則3年です。遅延金も発生してくると想定より高額になる可能性があります。
導入する際の制度設計は細かいところまでを決めておく必要があります。設計を自社内でやるには手間がかかりますし、外注に出すには費用がかかりますので、これもデメリットの一つと言えます。
❶
固定残業代を支払っていることで計算が雑になっている会社もよく見かけます。
労働者側から見ると、本来支払われるはずの残業代が支払われていないということもあります。
名称が違うケース
条件によっては可
固定残業代や固定残業手当という名称であっても、時間数を明示していない場合は少しグレーになります。時間数は明示しておく方が安心と言えます。
名称が違うとさらにグレーの度合いが強くなります。
過去の判例では、固定残業代を違う名称で支払うことを否定はしていませんが、次の要件を満たす必要があることが示されています。
a:当該手当が実質的に時間外労働の対価とすることが明確になっている
b:定額残業代として労基法で決められた額が支払われているかいないかを判定することができる
c:当該手当が労基法で決められた額を下回るときは、不足となる差額を支払っているか
職務手当や営業手当、精勤手当などの名称で支払うことは問題ありませんが、しっかりと考えて制度設計をすることは必要と言えます。
終わりに一言
調べてみるとたくさんの判例が出てくることからも、導入する企業も問題となる企業も多いのではないかと考えられます。
安易に導入するのではなく、専門家に相談して導入するかを毛投資ていくことが求められます。お困りの方や導入を検討している方は、お気軽にお問い合わせください。

