東海地方の田舎町で【コンサルタント事務所】を運営している元りく社労士です。
私が得意としている業種はサービス業ですが、サービス業の業績改善にはインターナルマーケティングが欠かせないことを知らない経営者の方は多くいらっしゃいます。
さて、今回は実は重要であるインターナルマーケティングについて以下の3点にまとめました。
- インターナルマーケティングとは
- サービス業の現状(私見)
- 効果的な打ち手
インターナルマーケティングとは
マーケティング手法の一つ
インターナルマーケティングという名称から想像できる通り、数あるマーケティング手法の一つになります。マーケティングと聞くと、外部に向けた集客を増やすための活動を思い浮かべることが多いですが、外部だけでなく内部に向けた活動もあります。これは特にサービス業のマーケティング手法として認識されているため、サービス業以外の業種の方にはなじみが少ないかもしれません。消費財メーカーなどは1つめのエクスターナルマーケティングのみのことがほとんどです。
サービス業のマーケティング
・エクスターナルマーケティング→企業が顧客に対して行うマーケティング
・インターナルマーケティング→企業が顧客と接点を持つ従業員に対して行うマーケティング
・インタラクティブマーケティング→顧客と接点を持つ従業員が顧客に対して行うマーケティング
インターナルマーケティングについては後述しますが、簡単にインタラクティブマーケティングについても触れておきます。実は、上記3つの中で最も重要なのはインタラクティブマーケティングです。
サービスの品質や評価は、売り手と買い手の両方に影響を受けます。直接顧客にサービスを提供するスタッフが評価に与える影響は非常に大きいため、最も重要となっております。
具体的には、常連さんの好みや癖などを把握しておくことで、期待以上のサービスを提供するといったところです。
従業員満足度の向上を狙う
最も重要とはしませんでしたが、人事労務に携わる立場としては同じくらい重要視しておいていただきたいものになります。
インターナルマーケティングとは、従業員満足度を高めることで、結果的に顧客満足度や業務効率化をすることを指します。
例えば、美容院を経営しているオーナーが、スタッフのスキルアップができるような取り組みを実施すると、スタッフの技術ややる気が高まり、サービスの品質を高めることができます。
また、オープン前のホテルでは、顧客を集めるためのエクスターナルマーケティングと並行して従業員教育などのインターナルマーケティングも実施していきます。こうすることで、顧客の期待も高まり、それに応えることができるサービスを提供することで、顧客満足度の向上を狙っています。
教育だけでなく、さまざまな活動がインタラクティブマーケティングと言えます。
インターナルマーケティングを行うことによる効果は以下のようになります。
1.従業員へのサービス品質を高めることで、従業員満足度が高まる
2.従業員満足度が高まることで、自社に対する貢献度や生産性が高まる
3.従業員の生産性が高まることで、サービスの品質が高まる
4.サービスの品質が高まることで、顧客満足度を高める
5.顧客満足度が高まることで、自社への愛着が高まる
6.自社への愛着が高まることで、売上が高まり企業が成長する
7.売上が高まり企業が成長することで、従業員に還元できる
働き続けたい職場を作っていくことにもつながりますので、人手不足の昨今においては定着率を高めるためにも重要な要素となっていくでしょう。
サービス業の現状(私見)
業種によるがまだまだ浸透していない
今まで多くの経営者の方とお話をさせていただきましたが、このインターナルマーケティングが浸透していると感じる経営者の方はあまり多くないという印象を受けています。
企業経営では、最初に目指すのはやはり売上になってしまいます。売上が上がってきて、手が回らなくなると人の採用も同時に行っていくことになります。人の採用や教育には思っている以上に資金がかかりますので、一度採用した方にはなるべく長く働いてもらうことが理想ではあります。
しかし、人が定着しない企業と言うのは、長時間労働なのに低賃金というケースは多くあります。それなのに、経営者は高級車に乗っていたり、親しい従業員をよく食事に連れて行ったりしています。これでは、他の従業員はよく思わないでしょう。
一緒に行動できる従業員は気分がよいかもしれませんが、そうでない従業員は離れてしまいます。
ここからは私が勝手に感じていることになりますので、違ったとしてもご容赦ください。
食事はコミュニケーションの一環という側面もあるため必要ですが、必ずしも経営者がいる必要はないと思っています。福利厚生の一環として、従業員同士の決起会の費用を負担することは従業員満足度を高める一つの手段となります。
また、成長過程にある企業であれば我慢して中古車を選んでおきましょう。高級車に乗っている経営者を見て、そんな風になりたいと感じてしまったらそれは離職するということです。
短期で離職してしまうかもしれない従業員にお金をかけたくない気持ちが分からないわけではありませんが、数年先までを見据えると有意義な方法であると感じます。
効果的な打ち手
低コストのものから取り組んでみる
インターナルマーケティングをやるにあたり、さまざまな手段が考えられます。いきなり大きく変化させるのではなく、まずは低コストで小さなところから始めてみてはいかがでしょうか。
・自社の活動の様子を社内報やSNSで発信する
・業務マニュアルを作成し、教育体制を整える
・休暇制度を見直し、働きやすい職場環境を作る
・社内規定を整備し、職業訓練を受けれる仕組みを作る
どれもいきなり多額の費用がかかるものではありませんし、内容によっては助成金の対象になっているものもあります。まずは、従業員が何を求めているのかを知り、効果の出そうなものから実施してみましょう。そして、やってみて終わりではなく、やった結果がどうであったのか、結果を見て次はどうするのかを考えていくことも忘れてはいけません。PDCAを回すということです。
取り組み始めてから効果が出るまでに少し時間がかかるものもありますので、どのように進めていくかは専門家のアドバイスを受けながら取り組まれるとよいでしょう。
従業員満足度を高める
顧客満足度を高める
収益を高める
従業員に還元できる額が増える
定着率が高まる
これらのメリットが期待できますので、サービス業を経営されている経営者の方はぜひご検討ください。
終わりに一言
私の経験を中心に書いたため、すべてに当てはまるわけではありませんが、当てはまる企業は多くあるのではと思います。取り組んでいきたい場合はお手伝いもできます。お気軽にお問い合わせください。