東海地方の田舎町で【コンサルタント事務所】を運営している元りく社労士です。
従業員を雇用していると忘れてはいけないのが年次有給休暇の付与についてです。取得のさせ方や、日数、支払う賃金まで様々な点が法律で定められていますので注意しておかなければなりません。
さて、今回は年次有給休暇の制度について以下の3点にまとめました。
- 年次有給休暇とは
- 年次有給休暇の発生要件と日数
- 年次有給休暇の使い道
年次有給休暇とは
労働基準法によると、年次有給休暇とは業種や業態、労働者の雇用形態にかかわらず、一定の要件を満たしたすべての労働者に対して与える休暇とあります。
第三十九条 使用者は、その雇入れの日から起算して六箇月間継続勤務し全労働日の八割以上出勤した労働者に対して、継続し、又は分割した十労働日の有給休暇を与えなければならない。
e-GOV法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/322AC0000000049#Mp-Ch_4-At_39
すべての労働者と書かれていることから、正社員だからもらえるものではなく、パートタイマーやアルバイトで雇用していても付与しなければならないことになっています。
2019年4月の法改正で年次有給休暇の取得が義務化され、労働者の権利としてより厳格に管理していかなければならなくなりました。
年次有給休暇の発生要件と日数
年次有給休暇の発生要件
有給休暇は、雇入れから半年以上勤務している従業員に原則与えなければならず、日数は勤続年数が長くなるにつれて増えていくようになっています。
フルタイムで働く従業員の場合は、全労働日の8割以上の出勤が要件になっています。
フルタイム以外で働く従業員の場合は、比例付与と言う形で所定労働日数に応じた日数が付与されるようになっています。
年次有給休暇の日数
有給休暇の付与日数はフルタイムの場合が原則として決められています。
パートタイム勤務など、要件を満たせないと有給休暇が取得できないという不公平をなくすため、比例付与よいう制度もあります。
原則の付与日数
継続勤務年数 | 付与日数 |
---|---|
6か月 | 10労働日 |
1年6か月 | 11労働日 |
2年6か月 | 12労働日 |
3年6か月 | 14労働日 |
4年6か月 | 16労働日 |
5年6か月 | 18労働日 |
6年6か月 | 20労働日 |
比例付与日数
継続勤務年数 | 週4日 (年169-216日) | 週3日 (年121-168日) | 週2日 (年73-120日) | 週1日 (年48-72日) |
---|---|---|---|---|
6か月 | 7日 | 5日 | 3日 | 1日 |
1年6か月 | 8日 | 6日 | 4日 | 2日 |
2年6か月 | 9日 | 6日 | 4日 | 2日 |
3年6か月 | 10日 | 8日 | 5日 | 2日 |
4年6か月 | 12日 | 9日 | 6日 | 3日 |
5年6か月 | 13日 | 10日 | 6日 | 3日 |
6年6か月 | 15日 | 11日 | 7日 | 3日 |
年次有給休暇の使い道
取得の時季を指定する権利
有給休暇を取得するときの注意点には、「時季指定権」と「時季変更権」の2つがあります。
時季指定権とは、労働者が働く予定だった日に有給休暇という休暇を取得できる権利となります。
対して、時季変更権とは、労働者から指定された日が事業の正常な運営を妨げる場合にだけ変更することができる権利となります。
よく聞く話として、「有給を使おうとしたら理由を聞かれた」や「上司の承認をもらうために1か月前に提出しなければならない」ということがありますが、年次有給休暇は労働者が自由に使うことができる休暇となりますので、会社は使い道を知る必要がないものとなりますので注意しておきましょう。
指定して与えることが可能
2019年4月の働き方改革関連法が施行されてから、有給休暇の取得が義務化されました。
法律では取得するように決められていますが、必ずしも全員が取得しているわけではありません。忙しくて休めない人や仕事が好きな人もいるでしょう。
しかし、有給休暇を5日以上使えなかったとしたらそれは法令に違反してしまい罰則が適用されますので、使用しているかの管理をしていく必要があります。
具体的には以下の通りとなります。
10労働日以上の有給休暇が付与される従業員に対して、1年以内に5日は使わせなければなりません。
5日すべてを使用者が決めるということではなく、労働者が申し出て取得した日数が5日に足りない労働者にのみ与えれば大丈夫です。逆に、既に5日以上を使用している労働者に対して、それ以上を時季を指定して与えることはできません。
終わりに一言
私自身が労働基準法を学び始めたときには既に有給休暇の付与義務は始まっていましたので、それ以前がどうなっていたのかは存じ上げませんが、昔の感覚のまま有給の使用目的を聞いているということがないようにしていきましょう。
法改正に伴い、就業規則の見直しだけでなく管理職以上の考え方もバージョンアップしていくように教育も行っています。気になることがありましたら、お気軽にお問い合わせください。