東海地方の田舎町で【コンサルタント事務所】を運営している元りく社労士です。
SNSの利用者は多くおり事業をしていく上でもプラスに働きますが、利用方法を間違えるとマイナスになってしまうこともあり注意が必要です。
さて、今回はそんなSNSと労務管理について以下の3点にまとめました。
- 公式アカウントと個人アカウント
- 投稿する上での注意点
- 労務管理上必要な対策
公式アカウントと個人アカウント
公式アカウントとは
企業が公式で運用するアカウントが公式アカウントと呼ばれます。
今では、大企業から個人経営のお店まで、様々な規模の企業が公式アカウントを運用しています。
利用しているSNSもInstagram、公式LINE、X(旧Twitter)、YouTube、TikTok、Facebookなどたくさんあります。それぞれに利用者層が異なるため、使い分けをしていると言うパターンが一般的ではないかと思います。
仮に全てにアカウントを持っていたとしても、全てを定期的に更新して運用するのではなく、ターゲットとなる顧客層に届きやすいSNSを見極め運用していく方が効率的です。
ここで発信される内容は企業が公式なメッセージとして発表されるものと同じだと言う認識を持つことが重要です。
少し大きな規模の企業になってくると、実際に運用していく方は社長本人ではなく、広報担当者や事務の方であることがほとんどです。
社長の認識と運用者の認識がずれてしまうとSNSのフォロワーの属性もずれてしまうことになります。
また、担当として任せる前にコンプライアンスの意識を研修するなど、炎上騒ぎにならないよう未然の策も必要になります。あくまで公式のアカウントであり、個人アカウントではないことをしっかりと認識しておきましょう。
ここの認識が間違ったままですと、時にはいいねの数を稼ぎたくなるあまり不適切な投稿をしてしまったりと言う事態も起こり得ます。
個人アカウント
個人のアカウントは、基本的には業務時間外に私的に利用するものとされています。
企業のアカウントとは違い、業務時間内に更新をすることはあまりありません。
ただ、美容業界ではお客様が担当を指名することが多いことや技術面に個人差が生まれやすいと言う構造上、個人のアカウントで店舗の宣伝を行なっていることが多々あります。
厳密には、個人のアカウントと言うよりは店舗用の個人アカウントで、完全なプライベートとは分けているケースもあります。
特定の個人しかログインできずに、個人の技術を投稿すると言う点では個人アカウントと差はないように感じます。
店舗用の個人アカウントの場合、業務時間中の投稿や閲覧が許されていることも多く、逆に終業後にも確認が必要になることもあります。
こうなってくると更新が業務時間なのか、業務時間外なのかの区別が難しくなります。
業務時間内であれば賃金に含まれますし、業務時間外であれば賃金には含まれないことになります。
さらに、SNSに関して何か問題が発生した際の責任が、会社にあるのか個人にあるのかの区別も曖昧になります。
区別をしっかりするためにも人事制度の設計は重要になります。
投稿する上での注意点
いいね数より炎上しないこと
公式アカウントの場合は、前述の通り企業の公式なメッセージと言う位置付けになります。
あくまで広報の一環としての業務であると言う認識を持たせた上で運用していく必要があります。
SNSの多くは無料もしくは安価で、最終消費者に対し、時間帯を問わず、直接アプローチができると言う特徴があります。
ここで、個人のアカウントと勘違いしてしまうと、注目を浴びるために間違った方向に向かってしまう可能性もあります。
しかし、いくらフォロワーが増え、いいね数が増えたとしても、一度ネガティブな話題が上がってしまうと元に戻すことは困難になります。
性差別、人種差別などの差別的な投稿を意図して行うことがあってはなりませんが、意図せずしてしまった事例も多く発生しているため、運用者への研修は定期的に行なっていく必要があります。
労務管理上必要な対策
業務との関連性を区別する
公式のアカウントの運用をしている時間は原則業務時間内と見なされます。
個人のアカウントであっても、店舗用で使っているものであれば業務時間内とみなされる可能性があります。
使用者は労働者の勤務時間を把握しておく必要があるため、曖昧なことを理由にサービス残業としてしまうと未払い賃金という大きな代償を払うことになるかもしれません。
また、公式アカウントとして運用していくのであれば、一人しかログインできない状況は避け、複数人でログインや投稿ができる体制としておく方が良いです。
投稿内容のダブルチェックとしての機能も働きますし、運用者が休日といった場合でも投稿や対応が滞ることは減らせるためです。
また、プライベートなアカウントを使用している端末では公式アカウントのログインを禁止するということも必要です。複数のアカウントを使い分けていたために、公式アカウントから運用者の私的な投稿がなされたことで問題となってしまった事例もあります。
終わりに一言
上手に使いこなせれば非常に便利なのがSNSのメリットです。公私の区別が難しいことも起こるため、しっかりとした管理が重要になります。