各ハラスメントの定義と2026年10月の改正

労働法・労働保険

東海地方の田舎町、岐阜県美濃加茂市で【社会保険労務士・中小企業診断士】として企業の支援をしている元りく社労士です。
ビジネスの世界に限らず、「お客さまは神様です」という言葉は広く浸透しているように感じます。
その影響もあってか、過去にはお客さまによるハラスメント、いわゆる「カスタマーハラスメント(以後、カスハラ)」が問題となることもありました。

さて、今回は、2026年10月の法改正とハラスメント対策について以下の3点にまとめました。

  • 各ハラスメントの定義
  • カスハラ対策の義務化
  • セクハラ対策の義務化

各ハラスメントの定義

セクハラ

セクハラ(セクシャルハラスメント)が最初に裁判に出てきたのは、私が調べたところによると1992年4月16日の福岡地方裁判所で判決が下された「福岡セクシャルハラスメント事件」のようです。
以前にテレビ番組で特集されていたのを見た覚えもあります。職場による性的な嫌がらせやプライベートに関する悪評の流布が不法行為と認定された画期的な判例だったようです。
それ以降、平成10年代に入ると全国各地でセクハラを争う裁判が起きています。

では、どのようなものがセクハラとされているのでしょうか。
主に次の2点のどちらかに該当するものがセクハラとされます。
職場で、労働者に意に反する性的な言動によって、労働者が不利益を受けたり、職場環境が害されることを言います。
性的な言動には、性的な発言や身体接触以外にも、性別による役割分担や性自認に関する偏見も含まれます。これは、男性から女性に限らず、女性から男性、同性から同性も含まれます。

類型として、次の2つがあげられます。
①対価型セクハラ(受けた側の対応で利益・不利益が起きるもの)
②環境型セクハラ(性的な言動で空気が悪くなったり、働きにくくなるもの)

パワハラ

パワハラ(パワーハラスメント)は、セクハラよりも内容が厳格で、具体的な累計が定められています。
職場での①優位的な関係を背景とした言動で、②業務上必要かつ相当な範囲を超えたものによって、③労働者の就業環境が害されるもの、の3つすべてを満たすものを言います。
客観的に、業務上必要とされる業務指示や指導であればパワハラには該当しません。
優位的な関係には、上司から部下だけでなく、部下から上司でも可能性があります。

具体的には次の6つの類型があります。
・身体的な攻撃
・精神的な攻撃
・人間関係からの切り離し
・過大な要求
・過小な要求
・個の侵害

カスハラ

職場でのカスハラとは、①顧客、取引の相手方、施設の利用者などが行なう、②社会通念上許容される範囲を超えた言動により、③労働者の就業環境が害されるもの、の3つすべてを満たすものを言います。
社会通念上許容される範囲とは、顧客の言動が契約内容からして相当性を欠くものを指します。
具体的には次の言動が例示されています。
・身体的な攻撃(暴行、傷害等)
・精神的な攻撃(脅迫、中傷、名誉棄損、侮辱、暴言、土下座の強要等)
・威圧的な言動
・継続的、執拗な言動
・拘束的な言動(不退去、居座り、監禁)

カスハラ対策の義務化

度を超えた対応は不要

カスハラ対策として以下の措置することが義務となります。

事業主の方針の明確化と周知❶毅然とした態度で対応し、労働者を保護する方針を明確にする
❷対処の内容を定めて、周知する
相談体制の整備❸相談窓口を定め、周知する
❹相談窓口担当者が適切に対応できるようにする
事後の迅速かつ適切な対応❺事実関係を迅速かつ正確に確認する
❻被害者に対する配慮のための措置を行う
❼再発防止に向けた措置を行う
実効性を確保するための措置❽悪質なカスハラへの対処方針を定め、対応できる体制を整備する
その他❾相談者のプライバシー保護に必要な措置をし、周知する
➓相談したことを理由に不利益な扱いをしないことを決め、周知する
https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/001662576.pdf

セクハラ対策

求職者へのセクハラをなくす

セクハラ対策の中でも求職者に対するセクハラ対策として、以下の措置することが義務となります。
求職者は、企業の求人に応募する人やインターンシップなども含まれ、SNSやオンラインなどで行われるものも含まれます。

事業主の方針の明確化と周知❶求職者に対してセクハラを行わない旨を明確にし、周知する
❷セクハラを行った者に対しては厳正に対処する旨を定めて、周知する
❸求職活動に関するルールを明確にし、周知する
相談体制の整備❹相談窓口を定め、周知する
❺相談窓口担当者が適切に対応できるようにする
事後の迅速かつ適切な対応❻事実関係を迅速かつ正確に確認する
❼被害者に対する配慮のための措置を行う
❽行為者に対する措置を適正に行う
❾再発防止に向けた措置を行う
その他➓相談者のプライバシー保護に必要な措置をし、周知する
⓫相談したことを理由に不利益な扱いをしないことを決め、周知する
https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/001662576.pdf

文字数の兼ね合いで文章は一部簡略化しています。詳細はそれぞれの表の下部にあるリンクから元の情ををご確認ください。

終わりに一言

2026年10月から義務化となりますので、それまでに方針の策定だけでなく、書類を準備、周知とやることが多くあります。抜け漏れなく対応していきたいところです。
まだ対応が追い付いていないという事業所がありましたら、弊所では相談から承っていますので、お気軽にご相談ください。

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